七草がゆの謎

行事の意味・由来

こんにちは、文LABOの松村瞳です。

 

御正月気分もそろそろ抜け、日常が戻ってくることですが、そんな日常が戻ってくる合図として、1月7日。もしくは、地域によっては1月15日に、「七草がゆ」を食べるという風習があります。

 

これは、平安時代の宮中行事から続いている、とても歴史がある行事で、更にその前をたどると、中国の古典文学からの故事が元になっています。

 

お正月に食べた御馳走。豪華な料理はとても美味しいものだし、華やかなものだけれども、毎日続けばやはり飽きるものです。そして、どうしても重たい食事が続くから、お腹を休めるために、消化の良い、身体に良い物を食べて、お腹を休ませようという意味がある、「七草がゆ」

 

その元ネタは、若返り薬だったって、知ってますか?

医食同源という言葉がありますが……

 

スポンサーリンク

【御伽草子の七草草子】

 

鎌倉期に書かれた短編集の「御伽草子」

 

その中に、「七草草子」というお話が入っています。

 

簡単にまとめると、唐時代の中国に、とっても親孝行な息子が居て、自分の両親は、既に百歳を超えていたのだけれど、段々と身体が弱くなってきて、老いてくる姿に胸を痛め……

 

「神様!! 両親を若返らせてください。私に両親の老いをうつしてください!!」

 

とお願いをしたら、帝釈天がこれを聞き入れてくれて、

 

「次のことを成し遂げたら、八千年生きる鳥の寿命を、お前達親子三人に与えよう」

 

とお告げがありました。

 

その告げられた内容と言うのは、次の七草を1月6日に集めて、七日に東でくんだ水で煮て食べなさい、と言うものでした。ただし、次の条件で集めなさいという、細かい設定がついていました。

 

 

酉の刻(午後五時から七時まで)には芹(せり)
戌の刻(午後七時から九時まで)には薺(なずな)
亥の刻(午後九時から午後十一時まで)には御形(ごぎょう)
子の刻(午後十一時から午前一時まで)には田平子(たびらこ)
丑の刻(午前一時から午前三時まで)には仏座(ほとけのざ)
寅の刻(午前三時から午前五時まで)には菘(すずな)
卯の刻(午前五時から午前七時まで)には清白(すずしろ)
辰の刻(午前七時から午前九時まで)には七種の草を合わせる

 

 

親孝行の息子は、その通りに行い、七草を煮て両親に食べさせたら、一口で十歳若返り、二口で二十歳若返ったということでした。

 

たちまちその噂は周囲に広がり、皆が真似して行い、七日に七草を食べることが風習として広がったということだ。

 

という、おとぎ話。

 

このお話を読んだ時、神様、条件厳しすぎ!! と思いました。あれですかね、竹取物語もそうですが、古典の話って無茶難題ふっかけるのが大好きなんですかね。

 

って言うか、親が百歳なら、息子も良い年(おじいさん)だろうと思うから、老いを移してもらっても、そんなに長くは生きられないのでは……と、情緒もへったくれもなく、突っ込みをしたくなるのですが、まぁ、おとぎ話ということでそこには目をつむっても、軽く徹夜で野山を駆け巡れと要求する、神様。

 

そして、一口で十歳若返るって、一碗食べたら赤ちゃんにまで若返るのかなぁ……三人とも赤ちゃんになったら、生き抜けないだろうに……とか、本当に突っ込みどころ満載な、現代のアンチエイジングもびっくりなこのお話。

 

帝釈天も大盤振る舞いだなぁ……と若干思いながらも、そんな伝説が中国にあったというのが書かれています。

 

その伝説と、五節句の句切りの日が結びつきます。

 

【一月七日は、人日(じんじつ)の日】

 

これは、中国から伝わった、一年間を五つに分けた季節の句切れの事。

 

一月七日は人日(じんじつ)の日
三月三日は上巳(じょうし)の日
五月五日は端午(たんご)の日
七月七日は七夕(しちせき)の日
九月九日は重陽(ちょうよう)の日

 

この、人日の日にイベントは、人を占う日、という意味です。

 

中国の宮中行事で、正月の一日から六日まで、獣や家畜の今後を順番に占い、七日目には、人を占う日であったので、このように名付けられました。

 

占いは、古代の世界では神の意志を聞く、大切な国家行事です。だからこそ、長生きをするようにと伝説にのこっている七草を煮たスープを飲むことも、人日の日の定番の行いでした。

 

それが日本に伝わり、鎌倉時代に書籍化され、それが江戸時代になって幕府が五節句の日として制定し、庶民に広がって、風習として根付いたとされています。

 

【春の七草の意味】

 

で、おせちなんかもそうですが、言葉遊びのように物事に意味を持たせるのが、日本人。

 

言葉は言霊と言いますが、そんな意味を持っている、と思うと、それだけでも心が豊かになる気がするから、知識って不思議です。

 

春の七草にもちゃんと一つ一つに意味があり、そんな風に多種多様な野菜を温かく似て食べると長寿。つまり、身体に良いよとしているんですね。

せり  競り勝つ

なずな  なでて汚れを取り除く

ごぎょう 仏体

はこべら 繁栄がはびこる(広がっている)

ほとけのざ 仏の安置

すずな(かぶ) 神を呼ぶ鈴

すずしろ(大根) けがれのない純白   

それぞれに整腸作用や消化増進、美肌効果や免疫力アップの効果が見込まれる七草。春の、日本のハーブだと思うと、解りやすいかもしれません。

【まとめ】

 

一月七日は人日の日。

 

中国の古典で、七草を集めて食べると若返るという伝説があった。

 

江戸時代に五節句として幕府が制定をし、庶民に広がった風習。

 

良く言われる健康のポイントですが、

 

・身体を冷やさず、温かい物を食べる。
・種類を多く、様々な種類の食物を取る。
・消化の良い物を食べる。
・食事をゆっくりとる。(作る、食べるのに時間をかける)
・家族で食べる。
・新鮮なものを食べる。

 

そんな風にみると、この元ネタになった御伽草子のお話。これを全てクリアしていたりしますよね。(徹夜するという、とっても不健康な事させてますが、そこには目をつむって……(笑))

 

豪華なものを食べ続けるのが長寿の秘訣なのではなく、家族の健康と長生きを願う人達と、新鮮なものを種類多く集め、おかゆのように時間がかかるものをゆっくりと作り、皆で食べる。

 

それが健康の秘訣なのかもしれません。

 

インフルエンザが流行っている時期です。ほっこりとするおかゆを食べて、寒い冬を乗り切れたら良いですね。

 

おかゆはお米から土鍋でゆっくり炊くのが美味しいですよね。

 

日本人でよかったなと思う瞬間です。

ほっこりしたおかゆ。体調が悪い時だけでなく、食べたいものです。

 

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

 

 

コメント

This site is protected by wp-copyrightpro.com

タイトルとURLをコピーしました