終戦記念日。あの日の記憶を風化させないために

行事の意味・由来

今から72年前の今日。日本はポツダム宣言を受諾し、太平洋戦争。および、第二次世界大戦は終わりを告げました。

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【忘却は最大の罪】

既に72年が過ぎ、この戦争を体験した世代でまだ存命の方はとても少なくなりました。そして、これは個人的な感覚ですが、年々戦争を語る人々や番組が少なくなっていると感じています。

凄惨な記憶や映像。そして詳細な証言は、様々な媒体で触れることが出来ますが、今後。語る人達が少なくなるのは残念なことですが、事実でしょう。私自身も戦争を体験した世代ではありません。そして、歴史は立場によって。そして時代によって様々な解釈が出来るもので有ることも、本が教えてくれます。

戦争が人々を不幸に陥れるものだということは、疑いようのない事実です。けれど、それを語る人が居なくなるということは、少しずつ。社会全体が戦争の記憶を忘れ、意識の外にある出来事になりつつあるという事です。

第二次世界大戦の事を知ろうとすればするほど、どうしてもその発端になった第一次世界大戦に繋がります。そして、その第一次世界大戦の勃発は、オーストリア皇太子夫妻の暗殺を切っ掛けに、まるで熱病に煽られたように、当事者であるサラエボとオーストリアだけでなく、多くの国が余りにも短期間に参戦することを決定しました。

様々な要因が関係しているでしょうが、この安易に参戦を決めた要因は、止める人間が居なかった事が挙げられています。ヨーロッパでは、第一次世界大戦の前に行われた大規模な戦争は、約100年以上前です。これは、戦争の現状を知っている人間が、民衆を始め、政治家や軍人。支配階層に到るまで、誰ひとり居なくなっていたからです。

「クリスマスまでには帰れる」
「戦争に行くことがカッコいい」
「行かないなんて、有り得ない」

十代の若者たちを中心に、民衆から兵士に志願する人々は自分ですすんで戦場に行ったという記憶が有ります。若者から老人まで。学生から、政治家、権力者たちまでもが熱に浮かれたように戦争に邁進していった。

そして、半年未満で終わると考えられていた戦争は、中世から近代の戦争へと移行し、泥沼の消耗戦、予定外の長期化、拡大の一途を辿りました。早期に決着がつくと思われていた戦争は、人類史上前例のない死者を出し、終結した後も多くの厄災を世界に残し、更に大きな厄災である第二次世界大戦を引き起こしました。

戦争を知っている世代が居なくなるということは、何を意味するのか。その国は、どうなってしまうのか。未来の可能性を、歴史が教えてくれています。


(NHKによる20世紀の映像を集めたドキュメンタリー集)

【歴史に学ぶとは】

愚者は己の体験に学び、賢者は歴史に学ぶと言います。

私達はたった100年ほどしか経験を積み上げることしか出来ません。けれど、歴史を学べば様々な人が積み上げた経験を、教訓として使う事が出来ます。サンプルがたった一つしか無い状況と、数多くの状況、環境、困難を、過去の賢人達がどう切りぬけてきたのかを、学ぶことが出来る状況と。どちらが問題解決能を有しているかは、明らかです。

歴史を学ぶことは、単なる受験の一科目で点数を取るためではなく、これから起こり得るであろう問題の解決案。又は、様々な失敗の経験を知っておくことで、同じ方法を選択しない未来を選びとれます。

経験値を増やし、その問題点を分析し、失敗したのならば改善をして、違う方法を試してみる。その積み重ねが歴史であり、膨大な試行錯誤の実験結果が、書物として目の前にあるのです。

 

戦争が起こる前に、何があるのか。それらの共通項は何なのか。

過去の実例からそれらを見抜き、現状に照らし合わせて、判断する力を持つ。地味な行動ですが、より良い選択をしたいのならば、地味な知識を蓄えるしかないのでしょう。

忘れさられようとしている記憶だからこそ、その危険性を理解し、知る努力を怠らない。それでも人間は間違えることが有りますが、今を生き、未来を創る為に、歴史を知る必要があるのです。

 

人は、命よりも大切なものがあると戦争を始め、命より大切なものは無いと気付いて、戦争を終わらせます。

誰かを殺す選択では無く、皆を生かす選択は、より高度で難しいものです。より困難な道を進む覚悟は、安易な道を進んでしまった時に訪れる厄災を知っているからこそ、持つことが出来ます。だからこそ、夏のこの時期に。黄泉の国の扉が開き、先祖の魂が帰ってくるこの時期に、思い出したい。

誰もが、自分の大切な人を守りたいと戦場に行ったことを。

そして、私達人間は、幸福になる為に、生きているのだと言うことを。

 

 

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

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