間違えると目付きが変わる? 触れてはいけない京都人の逆鱗

行事の意味・由来

こんにちは、文LABO の松村瞳です。

ホラーシリーズ、お盆編。例年よりも涼しく過ごしやすいお盆に、人間だけでなく虫達も元気になる様で、一気に刺される率が高くなったのですが、皆さまどうお過ごしでしょうか?

本日、8月16日は京都で、五山の送り火が行われる日です。

学生時代を京都で過ごしたので、京都はとっても好きな街。友達も多いですし、今でも良く訪れます。その街並みや歴史。そして、数多くの偉人達のエピソードなども、触れるだけでわくわくするものです。

けれど、京都人と話していると、一瞬で目の色が変わる瞬間があるのも、事実。逆鱗に触れるって、こういうことを言うのかな? と、一瞬で変わったその殺気混じりの視線に、「ひっ……」と言葉が無くなったのも事実です。

触れてはならない、ポイント。絶対に間違えてはいけない逆鱗の、ほんの一部を書きしたいと思います。そして、京都の方には、「あー、確かにそれは気になる!」と思っていただけたら、本望です。(笑)

 

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【そもそも送り火とは】

この送り火の行事は、お盆を締めくくる行事となっています。

お盆(盂蘭盆会≪うらぼんえ≫)は夏の仏事です。

地域によっては七月に行われる場所も有りますが、お盆は先祖の霊を家に向かえる儀式です。13日に迎え盆。迎え火を玄関で焚き、先祖の霊をお仏壇に迎えた後、家族全員で墓参りをし、16日に「また来年」と霊をあちらへと送ります。その帰り道、迷い無く帰れる様に、帰り途を照らす灯りを家族で灯す。送り火は、そんな行事となります。

別名として、精霊送りとも言い、京都だけでなく、奈良の大文字送り火、長崎の精霊流しなど、様々な地域で様々な送り方をしている、夏の終わりを告げる風物詩です。

京都五山の送り火は、何時から始まったかは解っていませんが、京都は歴史的に沢山の戦乱に晒されてきた千年王都です。人が沢山集まる場所と言うのは、それだけ欲望も渦巻き、争いも多く起こります。京都に沢山の神社やお寺があり、京の町に住む全ての人が見れる様に、あれほど大規模な送り火を行うのは、それだけ沢山の人が命を落としたことの証明にもなるのでしょう。

火は、その場を清める力もあり、夜の闇を照らす希望の灯りともなります。空に近い高い場所で精霊送りの火を焚きあげる。迷いなく、間違えないようにあちらに戻れるように、愛しい人を送る火。

祇園祭のように華やかに賑やかに祭るのではなく、穏やかに静謐に死者を弔う行事です。

 

-京都人の逆鱗-

一瞬で燃え上がる怒りの炎

逆鱗とは、中国の古い故事からの言葉で、普段は大人しい竜が、首の下にある逆さのウロコ(鱗)に障ると、途端に激しく怒り出して、触った人を殺してしまうというエピソードから、権力者の怒りに触れる様な行為をする、という意味が有ります。

京都人の逆鱗は、この五山の送り火です。

うっかりこの送り火を、「大文字焼き(だいもんじやき)」と言った瞬間。京都人の目が変わります。ええ、本当に。試しにやるのは、決してお勧めしません。絶対にやらないでください。試すのも、NGです。

言ったが最後。周囲の空気が一変し、必ず「送り火です」と訂正されます。怒りのレベルが高いと、京弁で。更には、笑顔で、です。

人間、表情と言っている内容が乖離していると、受ける恐怖感が増す、と言われています。

ニコニコとっても綺麗な笑顔で、「それ、違うから」と、声だけが妙に冷静。所謂、目が笑っていない、という表現がぴったりな対応を体験できます。全力でお勧めはしませんが……

ちなみに「大文字焼き」は、盂蘭盆の最後の送り火を、「大」の字で象り、松明の炎で描く俗称です。全国各地で行われていて、一般的な呼称は(だいもんじやき)で、呼ぶ人も多いでしょう。けれど、京都ではこの呼称は使われていません。もう一度、大事な事なので言います。京都では、使われていない呼び方なのです。

 

-大事なのは細かい部分への配慮-

逆鱗、と言う事は、一番大事な部分という事です。

京都人が豹変するのは、その行事にプライドを掛けて、大事にしているからです。決して、間違われたくない。他の地域と同じに、ひとまとめにされたくない気持ちの表れです。

たかが呼び方一つで? 同じ行事なのに? と思われるかもしれませんが、ならば自分の名前に置き換えて考えてみましょう。

呼び間違われたら、どう思いますか?

同じ名前だから、性格も似ているよねと言われたら、あなたの反応は?

または、逆。性格が似ている。何となく雰囲気が似ているから、名前を呼び間違われたら……あなたは、どういう気分に成りますか?

それが個人の問題でなく、大量の人々の想いが詰まったものならば、どうなるでしょうか。

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【相手を知る努力はコミュニケーションの基本】

逆鱗の場所は、人によって様々違います。

自分が大丈夫だからと言って、相手もそうであるとは限らない。理解しているつもりでも、注意するのは大変な努力です。

きっと、「大文字焼き、素敵だね~」と歩いて擦れ違う観光客に、京都人は静かな怒りを毎年感じているのでしょう。

なので、逆に「送り火見に行きたいんだけど、何処か良い場所知ってるかな?」と聞くと、途端に親切に教えてくれます。

「大文字焼きは他で見たこと有るんだけど、京都の送り火を一度ちゃんと見ておきたくて」と、付け加えれば最高です。

尊敬を示し、調べて、解らない部分は素直に教えを請う。面倒ですけど、面倒な事をした人ほど、恩恵を受けられるのは、この世の真理です。

どうせなら、仲良くなったほうが得ですし、仲良くなる為に知識は不可欠ですよね。

相手の事をちゃんと知る。解らないことは、訊く。教えて貰う。間違ったら、素直に謝る。ただ、それだけです。それで無知を笑う様な人は、此方から願い下げなので違う人に行けばいいだけです。教えてくれたことに感謝を示す。たったそれだけで仲良くなれる。

今年の五山の送り火も綺麗なんだろうなぁ、と思いつつ……

あっ、ちなみに人って禁止されると、1.5倍やりたくなって、実際やったら2倍やってしまうそうです。(ex, ゲームor 映画or TV)

何度も言いますけど、

京都人に「大文字焼き」って言わないでくださいね。

絶対に。

 

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

 

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