2017年度(平成29年度)センター本試験問題解説 評論 その7

テスト対策

こんにちは、文LABOの松村瞳です。

皆さま、大みそかはいかがお過ごしでしょうか?

受験生を指導していると、年末=センターまであと2週間or3週間(年によって違います)と考えるようになってしまったので、個人的に年が明ける感覚が薄いのですが、それでもやはり特別な感じがしますよね。

まぁ、そんな受験生たちに話を聞くと、

「年末どころかクリスマスもまだ来てない気がします……」

と話していました。まぁ、うん。普通だ、それ(笑)

そんなこんなで、センター問題最後の難関。ラストの第6問です。

実は、地味に時間を食うこの問題。強敵となっております。

では、問題分析いってみましょう。

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【問6(ⅰ)の問題】

(ⅰ)この文章の第1~8段落の表現に対する説明として、適当でないものを次の①~④のうちから一つ選べ。

はい、きました!!キラー質問、「適当でないもの」

【「適当でないもの」への対策】

なぜか毎年、これに引っかかる子が多い。適当でないものを選べと言われているのに、プレッシャーで何が何だか分からなくなってしまうのでしょう。適当なものを選んでしまうのです。

センター問題、絶対に作ってる人、性格が悪いですよね。ここまで散々、一つだけ当たっているものを探させて、一つだけ

「今度は一つだけ間違い入れたから、それ、見つけてね」

とやるわけです。

急に、そんなモードかえられるかぁぁぁああっっっ!!

 と受験生たちの悲鳴が毎年聞こえてくるのですが、文句言ったって始まらないので(笑)、取りあえず対策を。

この手の問題は、大概6番にきます。(大穴で5番にくる時もありますが)なので、問題にダウトが入っていることを知った上で、必ずこの「適当でないもの」という言葉を、ペンでぐるぐる○をしてください。

ええ、もう憎いこいつがやってきたと思うくらいに、塗りつぶすぐらいの勢いで、○を付けてください。

「へっ? そんなことしなくたって、解ってるよ!!」

と思うでしょうね。うん、確かに私もそんな単純なことで? と思うのですが、人間って本当に慣性の生き物なんですよね。とくに、プレッシャーやストレスがかかり、失敗できないとなった時は、はっきり言って異常事態です。普通の状態と同じとは考えない事。

自分が一番、信用なりません。とくにテスト時は。

それを分かった上で、今度は「間違ってるものを探すんだ!!」と脳に命令を出す為と、スイッチを切り替えるために、必ずしてください。やったみたら解りますが、決めていれば一秒かからない作業です。それだけで、ぐっとミスが減ります。是非、してみてください。

で、段落の1~8の表現に~ということは、段落の構成ではなく、個別の表現を問う問題であることをチェック。

なので、こればかりは勘ではなく、いちいちチェックをするしかありません。見比べるしかない。時間がかかります。だから、焦って間違える人が多い。

絶対センター問題作ってる人、性格がわ(以下略)

なので、選択肢を吟味していきましょう。

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【問6(ⅰ)の選択肢吟味】

はい、実際の選択肢で見ていきましょう。

これらの選択肢を見るポイントは、読解、というよりも文章の表現方法をどれだけ分かっているか、ということになります。

筆者がその表現を使ったのは、読者にどう読みとってほしかったのか。どういう意図でその表現を選んだのか、ということを考えると、見えてきます。

①第1段落の「『科学者』という職業的専門家」という表現は、「科学者」が二十世紀より前の時代では一般的な概念ではなかった(○)ということを、かぎ括弧をつけ、「という」を用いて言いかえることによって示している。(○)

これは、過不足ないです。

今は誰もが知っているポピュラーな職業でも、出てきた最初は解らないものです。それを、特殊だと表現したくても、中々出来ない。だから、記号のかぎ括弧をつかった。「『ユーチューバー』という自主動画作成者」、なんて言い方で説明しようとしたと言うわけです。

適当。なので、解答ではない。

 

②第5段落の「このような状況に一石を投じた」という表現は、コリンズとピンチの共著『ゴレム』の主張が当時の状況に問題を投げかけ、反響を呼んだものとして著者が位置づけているということ(○)を、慣用句によって示している。

一石を投じる、という表現は、水に石を投げ込んだ時、水の評論に波紋が広がるように、ある意見を発表することによって、世間が反響を示す様子を表しています。

当時この二人の意見の提示が世の中に反響を及ぼしたことを表しているので、適当。解答ではありません。

③第6段落の「コリンズとピンチの処方箋」という表現は、筆者が当時の状況を病理と捉えたうえで、二人の主張が極端な対症療法であると見なされていた(×)ということを、医療に関わる用語を用いたたとえによって示している。

処方箋という言葉は、診療所や病院などの医療機関にて診察を受け、医師、歯科医師、獣医師が医薬品を処方するために、薬の種類とその服用量、投与方法などが記載された薬剤師が調剤に用いる文書、と言う意味。

病気を治すための薬を渡すために書く文書です。

対処療法とは、疾病の原因に対してではなく、主要な症状を軽減するための治療を行い、自然治癒能力を高め、かつ治癒を促進する療法、と言う意味。

原因を治すのではなく、取りあえずの処置をする、という意味。そんなことは、本文には書いてありません。

コリンズとピンチは、科学に対する世間の認識が「病気」として、自分達が「医者」であり、『ゴレム』の論理が、処方箋だと言ったのです。

なので、適当出来ない。解答です。

 

④第8段落の「優れた検出装置を~。しかし~わからない。しかし~わからない……。」という表現は、思考が循環してしまっているということを、逆説の言葉の繰り返しと末尾の記号によって示している。(○)

逆説に逆説を重ねることで、思考がどうどうめぐりになっている事は、解りますよね。ぐるぐる同じところで回っているという、あれです。

適当。解答ではない。

【(ⅰ)のまとめ】

こうやってゆっくり見ると、内容読解、というよりは、慣用句や言葉の意味を正確に把握しているかどうかが問題として問われているのが解ると思います。

付け焼き場の知識は太刀打ちできません。問題と向き合い、解らない単語や慣用句があったのならば、常に辞書をひく。調べる、という行動が基礎的な知識をはぐくみます。

語彙を増やすのに一番いいのは、文章を書くことです。そして、その時に必ず辞書を横に置き、少しでも疑問がある表現は、調べるということを徹底してください。その時に面倒だとやらなかった人が、点数が取れません。面倒でも、その10秒を続けた人が、なんだかんだと知識を手に入れます。

それから、知ったその慣用句を、次の日に無理矢理自分の会話の中に入れてみようと試してください。そうすると、身についてきます。使ったもの、なじんだものは離れていかないので、しっかりと使いこなしてください。

【問6(ⅱ)の問題】

この文章の構成・展開に関する説明として適当でないものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 

はい、また出ました。適当でないもの。ぐるぐる○付けてください。それこそ、穴が開くぐらいに愛(と言う名の憎しみ)をこめて(笑)

間違っているものを探すのです。正解を選んではなりません。

そして、構成・展開に関する問題は、必ずと言って良いほど出てきます。ここで役に立つのが、段落ごとにまとめたもの。

冒頭(導入・現状分析)
①現代は科学技術に依存している社会。
②生活そのものが科学技術に支えられているから、切り離したら生活が維持できなくなる。
③今までは問題解決能力があって便利だったけど、最近は科学のせいで起きている災いも沢山ある。

問題提起
④科学者に言わせると、それは無知がもたらす不安から生じる疑問だから、科学知識を持てば大丈夫。けど、それって本当なの? 本当に大丈夫なの?

例示
⑤科学は善と悪のイメージに引き裂かれている。
⑥科学は万能な神ではなく、不器用で問題の多いゴレムの性質が強いんだよ。そっちにイメージを置き換えよう。
⑦ウェーバーの重力波の実験例。実験結果の検証をしたいけど、否定的な意見を表したら、自分が無能だと言われる危険性も生じる。
⑧どんな実験結果が出れば正解なのかが解らないから、思考がどうどうめぐり。
⑨結局、有力科学者の一声で、重力波は存在しない、という論理性とは程遠い理由で、存在の否定(本来不可能なこと)で決着がついてしまった。
⑩一般市民に伝えるべきことは、科学知識などではなく、専門家と政治家やメディア、そしてわれわれとの関係だ。

まとめ
⑪明らかに異なる領域もひとまとめに「科学」と呼ぶのを考えなくてはいけない。

問題点の指摘(筆者の意見)
⑫コリンズとピンチの主張には一理あるが、けれど科学が危い物というイメージは既に広まっていた思考だ。
⑬二人の主張の問題は、科学の「ほんとうの」姿を語るべき存在は、科学社会学者である自分達の存在を押しだす為に、この論議をしているようだと感じる。そこが、二人の論説の問題点だ。

が、文章の内容でした。

それを元に、選択文を見ていきます。

【(ⅱ)の選択文吟味】

第1~3段落では十六世紀から二十世紀にかけての科学に関する諸状況を時系列的に述べ(○)第4段落ではその諸状況が科学者の高慢な認識を招いた(×)と結論付けてここまでを総括している。

はい、いきなり来ました。

後半の科学者の高慢な認識を招いた、と書いてありますが、筆者が書いているのは、一般人が科学知識をちゃんと持てば、不安も無くなるよと科学者は言うけれど、それは本当に正しい認識なのだろうかと言っているだけです。

科学者が高慢、偉そうなどとは、書いてありません。適切ではない。

なので、解答です。

第5~6段落ではコリンズとピンチの共著『ゴレム』の趣旨と主張をこの文章の論点として提示し、第7~9段落で彼らの取り上げたケーススタディーの一例を紹介している。(○)

そのままです。過不足ありません。適当なので、解答ではありません

第10段落ではコリンズとピンチの説明を追いながら彼らの主張を確認し、第11段落では現代の科学における多様な領域の存在を踏まえつつ、彼らの主張の意義を確認している。(○)

これも過不足ないです。解答ではない。

第12段落ではコリンズとピンチの議論の仕方に問題のあることを指摘した後に具体的な事例を述べ、第13段落ではコリンズとピンチの主張の実質を確認して、著者の見解を述べている。(○)

これも、指摘する部分はないので、適当。解答ではありません。

【(ⅱ)のまとめ】

これは、全体の構成がざっと分かっていると、とても楽です。

そして、この問題は読解にも役に立つし、必ず問題で問われる部分であると確定しています。

分析をする。段落ごとにまとめる、という作業は手間に思うかもしれません。けれど、最初のその一歩を怠ったが故に、今の点数が目の前にある現実を、少し冷静に考えてみてください。

他者の文を読み、再構築して段落ごとにまとめ、繋がりと構成を考える。

最初はとても時間がかかる作業です。けれども、実際に手を動かして覚えた物は、決して自分を裏切りません。

あと、センターまで二週間。

無駄な時間は一秒もないはず。

是非とも、今やろうとしている問題が難問ならば、ノートを横に置き、段落ごとに構成をまとめ、繋がりを確認し、言葉を調べ、選択肢をじっくりと部分的に合っているかどうかを確認してください。

そこを避けては、通れません。

今年はここまで。

2017年。最期まで読んで頂いてありがとうございました。

良いお年をお迎えください。

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