2017年度(平成29年度)センター本試験問題解説 評論 その1

テスト対策

こんにちは、文LABOの松村瞳です。

今回から、暫くセンター問題の評論の解説を行います。過去問を使ってどう解くのか。どう読んでいけばいいのかを、付属の解説書を読んでも解らないという人向けに、簡単に解説していきますね。

まずは、文章の内容を理解する。問題はその後です。

最初はどれだけ時間をかけても構いません。むしろ、解らない状態で解くことの方がストレスです。まずきちんと理解する。解き方を身につける。スピードアップは、その後です。

2017年度(平成29年度) センター本試験の国語・問一 評論文の解説です。

まず、段落ごとに、機械的に何を言っているのかをまとめていきます。

平成29年度 センター問題

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【段落1】

まず、解りやすく箇条書きで並べます。

・現代社会は科学技術に依存した社会。
・16・17世紀⇒科学は一部の好事家による楽しみ。娯楽であった。
・19世紀⇒科学は専門家による知的生産へと変容。
・20世紀⇒科学は国民国家間の競争において、重要な戦力へ。
・二度の世界大戦が社会の中での科学の位置づけを決定的に。

簡単に言うと、科学の歴史です。

最初は、金持ちの道楽のような、遊び的なものだったけど、19世紀に科学者という専門家が生まれて、20世紀は国家間競争で、科学技術は重要な戦力になった。

要するに、科学が進んでいると、国同士の競争に勝てる、となったわけです。

原子力爆弾の開発だったり、宇宙開発だったり、新兵器の開発、建築技術の発展、都市生活の快適さ、車・電車の開発、新商品、IT技術。色んな例示が挙げられます。

で、

小学生でもわかる、「新商品だよ~、すごいだろ!!」ってやつといっしょ。

「我が国のテクノロジーは凄いんですよ!」「技術大国だから」というように、戦争で科学がすすんだ国が勝利したという事も相まって、科学の発展に躍起になったのが、20世紀だと言っているだけ。

更に言うのならば、現代社会は科学技術に依存している。頼りまくっている、と言っているわけです。

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【段落2】

具体的表現・否定的表現は省きます。「~を失い」、「~でないが」というのは、全部無視。

大事なのは、

・科学技術という営みは、膨張を続けている。
・現代の科学技術は、先進国の社会体制を維持する重要な装置。

この二つだけです。

すると、段落1で語られている、現代社会が科学技術に依存している=現代の社会体制は、科学技術がないと維持できない。と繋がります。

まぁ、確かにネットがない社会とか、電気がない生活、とか考えると、恐ろしくなりますよね。電気ないと信号とかも動かないし、水もガスも使えなくなる。(供給システムを動かしているのが、電気をエネルギーとした機械だから)

生活自体が、科学技術がないと成り立たないのです。

依存とは、一方的に片方が頼り切っている事。頼る先がなくなったら困る方が、依存している方です。

【段落3】

ここから、対比が組み込まれてきます。

19~20世紀前半⇒科学-技術(科学と技術が結びついた状態)は社会の諸問題を解決する能力を持っていた。(病・災害・自然の脅威を制御、など)

20世紀後半⇒科学-技術は両面的価値存在。作りだした人工物が人類に災いをもたらし始めている。(環境ホルモン・地球環境問題・先端医療・情報技術、など)

結果、「科学が問題ではないか」という意識が社会の中に生まれてくる。

今までの科学と、現代の科学、の対比ですね。

19~20世紀前半は、問題を解決してくれる、とっても良いものだった。

けど、20世紀後半は、人間が作りだした人工物が、人間にとって厄介なものになった、と。

公害などに代表される光化学スモッグや、地球温暖化、最先端医療を行い、却って寿命を縮める人や、ネット中毒、スマホ中毒、ネット依存になっている人も、多い現代。

便利なだけではなく、ちゃんと便利なものにはその反対の都合が悪い部分というのもちゃんとあるんだとよ、言っているんですね。

それがちょうどタイムラグのように、少し遅れて出てくる、と。

だからこそ、科学に慎重になる姿勢が、「科学が問題なのではないか」という問いかけとして、出てくるのです。

【段落4】

「しかし」という接続詞から始まる段落は大事。問題提起です。

この第4段落では、科学者と科学者以外の認識の対比、を取り上げています。

・「もっと科学を」⇒科学者がもっと科学を発展させたいという発想。
・「科学が問題ではないか」⇒一般市民の考え。科学者は無知や誤解がそんな考え方を生んでいると認識。

その結果、科学者たちは一般市民への科学教育、啓蒙行動へと動いていく。そういう発想しか、科学者は出来ない。

ここはこの先を読んでいくのに、非常に大事な部分です。

科学者たちは、科学の研究を進めたい。そりゃそうですよね。

でも、一般市民は、害悪をもたらす部分も明らかになってきたから、ちょっと考えた方が良いのでは……と不安になる。科学に問題があるんじゃないかと、疑いの目を向ける。

けれど、科学者は、それは単に「知識がないからだよ。ちゃんとした科学知識を持てば、そんな馬鹿げたことは言わないはずだよ。だから、教えてあげるよ」と、あくまで「科学知識」を教えようとする。

科学者という立場から、そういう発想しか出てこないと言っているのです。

批判的な空気が文章から漂ってきていますね。大抵「~しか」って表現は、批判を含んでいるものです。「え~、これだけしかないの?」って、批判してるでしょ?

知らないから不安になるんだよ。知れば大丈夫だから! と言われ、専門家がもっともらしいこと言っているから納得しそうになるけど、それって本当にいいのか? と筆者は言いたいわけですね。

【まとめ】

ここまでをざっくりまとめると、

①現代は科学技術に依存している社会。
②生活そのものが科学技術に支えられているから、切り離したら生活が維持できなくなる。
③今までは問題解決能力があって便利だったけど、最近は科学のせいで起きている災いも沢山ある。
④科学者に言わせると、それは無知がもたらす不安から生じる疑問だから、科学知識を持てば大丈夫。けど、それって本当なの? 本当に大丈夫なの?

といった感じ。

続きはまた明日。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

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