今からでも間に合うセンター対策 解る古典文法解説 基礎編 その5

テスト対策
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こんにちは、文LABOの松村瞳です。

基礎編も5回目。今度は、違う文章で一気に文法を見て行きましょう。

理解できるものがあったなら、ただひたすらそれを練習する。毎日の一歩が、大きな飛躍に繋がります。出来ない事がいっぱいあると思うのではなく、飛躍するチャンスが沢山あると考えましょう。解れば、文法なんて簡単です。

解った!! は、まさしく希望の光です。

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【演習 徒然草 仁和寺にある法師】

さて。ここで出してくるのは、徒然草です。

仁和寺にある法師。過去、解説しましたよね。プライド高いお坊さんが見栄を張ったせいで、行きたかったはずの石清水八幡宮に行けなかった話です。

その、中学で読んだ話を、今回利用します。あくまでも、文法の練習は内容の解りやすいものでやること。意味がはっきりと解っている物で挑戦するのが吉です。いきなり、難しい文章に行かない事。

-本文-

仁和寺にある法師、年寄るまで石清水ををがまざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩(かち)よりまうでけり。

極楽寺・高良などををがみて、かばかりと心得て帰りにけり。さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。聞きしにも過ぎて、たふとくこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん。ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。すこしのことにも、先達はあらまほしきことなり。

 

-訳文-

仁和寺にいたある僧侶が、高齢になるまで石清水八幡宮を参拝した事がなかったので、残念に思って、ある時ふと思い立って唯一人で歩いて石清水八幡宮に参拝した。

極楽寺と高良神社(二つとも石清水八幡宮の末寺と末社。山の下にあった)などを参拝して、これで石清水八幡宮は全部なのだと勘違いして、そのまま仁和寺に帰ってしまった。
さて。その後友達に会って、「長年、気になっていた石清水への参拝を果たす事が出来ました。石清水はかつて話に聞いていた以上に素晴らしくて、尊いお姿でした。
それにしても、同じように参拝していた人たちは皆山に登っていったのです。山の上に何か面白いものでもあったのだろうかと興味が惹かれたのですが、石清水に参拝する事が私の本当の願いだったので、山の上(本当は山の上にこそ、石清水八幡宮の本殿がある)には登らずに帰ってきました」
と、得意げに語ったそうだ。
ほんのちょっとしたことにでも、案内人って必要ですよね。(呆れ+溜息)

-文法問題の抜き出し-

 

はい。ここで、いつものごとく、文法問題になる部分を抜き出します。

過去の助動詞「けり」と助詞の「て」が関わっている、動詞のみを抜き出します。(助動詞の連結は基礎編を抜けてからやります。)

 

仁和寺にある法師、年寄るまで石清水ををがまざりければ、心うく①覚えて、ある時思ひ②立ちて、ただひとり、徒歩(かち)より③まうでけり

極楽寺・高良などを④をがみて、かばかりと⑤心得て帰りにけり。さて、かたへの人に⑥あひて、「年ごろ思ひつること、果たしはべりぬ。聞きしにも⑦過ぎて、たふとくこそ⑧おはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん。ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと⑨思ひて、山までは見ず」とぞ⑩言ひける。すこしのことにも、先達はあらまほしきことなり。

はい、一気に数が増えましたね!10個です。

この、徒然草。基本的に人から聞いた話を書いていることが多いので、過去の助動詞「けり」の登場が多いんです。

では、解説に行きましょう。

いつものごとく、ぜひ、自分で考えてみてください。クイズと一緒です。

楽しんで、やってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、では、解答です。

①覚

「て」の上なので、連用形。

接続のひらがな、「え」はア行かヤ行の二種類(あいうお と やいゆよ)

なので、基本形は、「覚う」か「覚ゆ」のどちらか。

此処で解らなかったら、ぜひ古語辞書を引いてみてください。「覚う」、という単語が存在しない事が解ると思います。

なので、ヤ行基本形「覚ゆ」が決定。

特殊系6種は無し、通常系3種のどれかです。

「ず」を付けてみると、「覚えず」となり、e段です。下二。

解答、ヤ行下二段動詞「覚ゆ」の連用形。

少し難しかったかな。「え」はア行と思いこんでしまう現代人の盲点をついた問題です。

ヤ行もある、という意識を持つこと。

 

②立

「て」の上なので、連用形。

接続ひらがな、「ち」は、タ行。基本形は「立つ」

特殊系6種は無し、通常系3種。「ず」を付けると、

「立たず」と変化。a段です。四段動詞。

解答 タ行四段動詞「立つ」の連用形。

 

③まうけり。

「けり」の上なので、連用形。

接続のひらがなは「で」なので、ダ行。基本形は、「まうづ」

特殊系6種はなし、通常系3種で「ず」を付けると、変形は「もうでず」

e段なので、下二段活用。

解答、ダ行下二段活用「まうづ」の連用形。

 

④をが

「て」の上なので、連用形。

接続のひらがな、「み」はマ行。なので、基本形は「をがむ」

特殊系6種はなし、通常系3種の「ず」を付けると、変形は「をがまず」

a段なので、四段動詞。

解答、マ行四段動詞「をがむ」の連用形。

⑤心

「て」の上なので、連用形。

接続の「得」は「え」と読めるので、「え」はア行かヤ行。

なので、基本形は「心得(こころう)」か「心ゆ」

「心ゆ」という単語はないので、基本形「心得」

特殊系6種はなし、通常系3種の「ず」を付けると、変形は「心得ず」

e段なので、下二動詞。

解答、ア行下二段動詞「心得」の連用形。

⑥あ

「て」の上なので、連用形。

接続のひらがな「ひ」はハ行。なので、基本形は「あふ」

特殊系6種なし。通常系3種で、「ず」を接続。変形は「あはず」

a段なので、四段決定。

解答、ハ行四段動詞、「あふ」の連用形。

 

⑦過

「て」の上なので、連用形。

接続のひらがな、「ぎ」はガ行。なので、基本形は「過ぐ」

特殊系6種はなし、通常系3種の「ず」を付けると、変形は「過ぎず」

i段なので、上二段動詞。

解答、ガ行上二段動詞「過ぐ」の連用形。

 

⑧おはけれ

「けり」の上なので、連用形。

接続のひらがな、「し」はサ行。なので、基本形は「おはす」

特殊系6種のサ変、「す・おはす」なので、サ変決定。

解答、サ行変格活用「おはす」の連用形。

 

⑨思

「て」の上なので、連用形。

接続のひらがな、「ひ」はハ行。なので、基本形は「思ふ」

特殊系6種はなし、通常系3種の「ず」を付けると、変形は「思はず」

a段なので、四段動詞。

解答、ハ行四段動詞「思ふ」の連用形。

⑩言ける。

「ける」の上なので、連用形。

接続のひらがな、「ひ」はハ行。なので、基本形は「言ふ」

特殊系6種はなし、通常系3種の「ず」を付けると、変形は「言はず」

a段なので、四段動詞。

解答、ハ行四段動詞「言ふ」の連用形。

【まとめ】

はい、お疲れ様でした!!

解答、どうでしたか?

意外に解けた物が多かったのではないでしょうか?

これで基礎編は終わりです。次は、助動詞の変形と絡めて、解説をします。実践編です。

一つ解ってしまえば、あとはバリエーションです。ここまでやってくると、下二と上二の違いや、特殊系6種も、段々頭の中に入ってきているはずです。

何度も何度も同じものを見て、確認する。思考の道筋を間違えない。一気に飛んだり酬略するのは、慣れてからです。

大丈夫。ここがクリアできたなら、理解はもうあとちょっとです。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

次は、実践編です。

 

 

 

 

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