Kの事を忘れる先生

こころ

夏目漱石「こころ」16〜問題から逃げ続ける先生 〜

「こころ」解説、その16。 今回は、先生の結婚の申し出の後のシーンとなります。 「お嬢さんをください」と奥さんに頼み込み、そしてそのプロポーズがあっさりと受け入れられた後。先生は放心状態で散歩に出かけます。その際にお嬢さん本人ともすれ違いますが、結婚の申し出の事は自分の口からは一切出しません。他愛もないことを会話であいさつ程度に交わすのみ。 そして、延々と散歩をしながら、今頃奥さんはお嬢さんに自分の申し出の話をしている頃だろう、とぐるぐる考えるのです。たとえ声は聞こえなくとも、そんな話をしている時に、同じ屋根の下にはいたくなかった。気づまりで、どんな顔をしていればいいのが解らなかったのでしょう。 その散歩から帰って来てからのシーンとなります。

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