地図の想像力 論理国語 テスト対策問題

テスト対策

筑摩書房の論理国語から、若林幹夫著「地図の想像力」のテスト対策問題です。

記述中心の問題なので、記述が嫌い。模試の読解問題で点数が伸びない人は、ぜひ挑戦してみてください。

解説・ヒントもつけましたので、分からないときの参考にしてくださいませ。

では、問題です。

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テスト対策問題

問1

次のひらがな(下線部)を本文中の漢字にしなさい。

⑴がいねん ⑵びょうぞう ⑶ちゅうじつ ⑷みじゅく ⑸道徳のきじゅん ⑹してき 
ほうじょうな大地 ⑻そくりょう ⑼しゅくしゃく ⑽ひょうこう ⑾世界のようたい 
いそうが違う ⒀かいきょう ⒁しょき記号 ⒂きさい ⒃きはん 

 

⑴概念 ⑵描像 ⑶忠実 ⑷未熟 ⑸道徳の規準 ⑹指摘 ⑺豊穣な大地 ⑻測量 ⑼縮尺 ⑽標高 ⑾世界の様態 ⑿位相が違う ⒀海峡 ⒁書記記号 ⒂記載 ⒃規範 

 

問2

第1段落「概念的な描像」とありますが、それはどのようなことを指し示しているか。説明せよ。

解説

冒頭に書かれている文章からの出題です。

これは多くの評論文の問題に共通している部分なのですが、冒頭の部分から出題があった場合、それは「全体を踏まえて答えてね」という合図に成ります。

どうしても最後の問題の方が難問だろうと思いがちですが、問題の下線部が冒頭から出ていたら、それはかなりの難しい問題で、全体の要旨を理解して答えなければならない問題であることを理解してください。

ぐれぐれも、最初の問題だからといって油断して、前後の文章から引っ張ってきて答えないように気を付けてください。

この問題は、ほぼ全体を通した要旨に近い問題になります。

逆に言うと、何一つヒントを読まずに完答出来たら、この評論の内容をとてもよく理解していて、国語の解答能力がかなり高いです。

ぜひ挑戦してみてください。

さて、問題に対するアプローチの仕方ですが、まず主語と述語を確認します。

とにかく難しい問題程、元の文章の主語・述語を確認し、解答の主語・述語の関係を埋める所から考えます。そこが大枠です。ここが出来ていないと、お話にもなりません。記述問題に対して無計画に書き出し始めない事。とりあえずで書き始めても、途中で必ず止まります。土台をしっかりとまず構築しましょう。

問題になっている部分の、本文では主語は「地図が」述語(述部)は「概念的な描像である」となります。

そして、その前の部分で書かれているのが、並列表現なので、地図=世界に対するイメージの表現=概念的な描像という図式が成り立ちます。

なので、ここのイコール関係だけで考えるならば、「地図は世界に対するイメージを表現したものであること」という解答になりますが、これだけだと不十分です。(ここで引っかかる人は、中学校のテストの問題のやり方から脱却できていないサインなので、基礎からの振り返りが必要です。ファイト!!)なぜかというと、「概念的」「描像」という言葉の意味と、文章全体を踏まえての説明がされていないから。

特にこの部分は冒頭なので、全体を踏まえて説明を入れる必要があります。第一段落だけで書かないようにすること。ある意味、1番難しい問題ですね。

 

まず、言葉の意味を捉えます。
『概念』=普遍的な物事の見方や態度の事を言います。もっと詳しくいうと、個別の事柄の特殊性を1つ1つ見ていくのではなく、全体に共通の要素だけを取り出して得た、何時の時代も通用する物の見方や態度の事。「~的」という「的」が付いている言葉は、「そのような意味を持った」「その方面では」の意味が足される表現です。
では、ここから地図の普遍的な見方とはどのような見方なのか。
本文全体の内容を踏まえると、「その時代その時代の人々が、ある思想や背景を背負った考えによって描き出された世界のイメージ」ということになります。また、これの対比として描かれているのが、「未熟・非科学的な地図」=「観測や測定されうる対象のみを地図に描きだす態度」となり、その真逆を考えれば解答は楽に思い浮かぶはずです。
「描像」=像を描き出すこと。ここもポイントですね。描写ではなく描像という言葉を使っているところがポイントです。描写はあるがままの姿を写し取って描き出すこと。描像は、概念を分かりやすく描き出すこと、です。
なので、見たままを描くのが描写。
頭の中の思想や考えを描き出すのが、描像です。
地図はリアリズムの産物ではなく、その地図が描かれた当時の人々の考えや思考によって描き出されたものであるということ。

問3

第5段落「人間によって見られ、読み取られ、解釈された『意味としての世界』であるということだ。」とあるが、これはどのようなことを指し示しているか。筆者の論理を踏まえたうえで、説明せよ。

解説

これはボーナス問題です。

第5段落の冒頭の文章から出題されていますが、傍線部だけでなく、その文章の主語をまず確認。

主語=「概念やイメージとしての地図が表現する世界とは、」となります。(正確には主部ですけど、割愛)

そして、その文章の内容を分析すると、

「世界そのもの」などではなく

の「なく」の部分を見落とさない事。なので、その前に書いてあることは否定しているので、解答には関係が無くなります。

大事なのは、否定のその後の部分。

=関係が成り立つのは、

「人間とっての世界」=「意味としての世界」

となります。

なので、解答の文章の形は、質問の文章を違う言葉で言いかえることが出来ればよいので、

「概念やイメージとしての地図が表現するのは、~~~~~~~ものであるということ」の、~~~~の部分を違う表現で書き表してみてください。

「人間にとっての世界」=「意味としての世界」なので、この2つをまとめると、「人間にとって意味のある世界」となります。
そして、「人間」とはどのような背景を背負った人間なのか、ということが重要。
日本人が描く世界地図と、欧米人が描く世界地図は、中心になる場所が異なります。これは、地図を描く人物がどこで生まれ、どのような視線で世界を見ているかで全く変わってくる、という事。
これを抽象的に表現できれば、解答になります。

 


「意味としての世界」=「人間にとっての世界」であることは解説で説明したので、それに説明づけをしていきます。
「人間にとっての世界」というのは、どこにいるどんな人間で、どのように世界を見ているのかを説明で付ければ解答に成ります。
その細かな内容は、5段落に書かれているのを参考にしてみてください。
概念やイメージとしての地図が表現するのは、ある社会の中で生きる人間によって見られ、読み取られ、解釈されることによってできあがった、特定の意味を与えられた世界だということ。

 

問4

第12段落「テクストは、世界を「ありのまま」に映し出す中性的で透明な空間ではない。」とあるが、何故か。説明しなさい。

解説

まず、テクストの意味を確認します。

教科書下部にも説明がある通り、「記号で表現されるもの一般のこと」とあります。

なので、この文章の中では地図の上に描き込まれる記号たち、ということになります。

なので、置き換えの解答の形は、

「地図に描かれる記号は~~~~~~~であるから

というのが、解答の基本的な形になります。(何故かと問われているので、理由を示す「~から」「~なので」「~のため」に代表される文末にすること。これが無ければ減点対象どころか、厳しい採点だと内容が当たっていても基本が出来ていないということで点数がもらえず、0点になることもあります。それぐらい、文末は大事)

そして、「中性的」「透明な空間」ではないことが理由として書かれていれば大丈夫。


「~~ではない」とあるので、対義語を考えれば理解がしやすくなる。
「中性的」の対義語は、科学的に考えると「アルカリ性」「酸性」「塩基性」……なんてものがありますが、これらを流石に解答に使うことはできません(笑)でも、科学の図を考えれば、中性ってちょうど真ん中であることは理解できますよね。
なので、その逆の特徴をまとめると「極端な特性を持つ成分」と考えれば、中性的は「特性が全くない成分」と言いかえることが出来ます。
同じように「透明な空間」の逆は「混濁」「不透明」です。
また「透明」=「目に見えない」とするならば、「混濁・不透明」=「目に見える」と考えられます。
目に見えない、特性が全くない記号は地図上では使わない。
それは何故なのか。簡単です。製作者の意図・解釈が色濃く反映するのが地図だからです。
地図に描かれる記号は、世界を表現するうえで特徴や特色のない表記ではなく、製作者の解釈が反映した、際立った特徴に彩られたものであるから。

アコーディオンボックス内容

 

問5

第12段落「地図とは、そのような世界像の生産の場である。」とあるが、筆者は地図がどのような「場」であると言いたいのか。全体の要旨を踏まえたうえで、説明せよ。

解説

まず、問題文を精査します。

「地図とは~~~~「場」である。」という文章の~~の部分に、「そのような」という指示語。「世界像の生産の」という抽象的な表現があるので、これらを具体的に言いかえて説明することが出来れば、そのまま解答になります。

ここでポイントなのは、地図が世界像の生産の場、と言っているので、地図を必要としている人が主語として二種類いることを確認しておくこと。

そう。作成者(描き手)と閲覧者(読み手)です。

この二者(厳密には、少人数:圧倒的大人数)の思惑が地図には絡んでいる、という事。

描き手の方は、散々問題で考えてきたので大丈夫かと思います。

けれど、読み手は? 読み手の意図というのはどのようなものなのか。そこをきちんと押さえておくことが重要になります。

アコーディオンボックス内容まず、「描き手」がどのように地図を描いているかというと、描き手の世界像や世界はこうあってほしいという願望、価値意識などが地図には色濃く表現されていきます。
では、「読み手」はどうかというと、読み手も読み手で、描き手の意図を再解釈し、それぞれの読み手の欲望のままに好き勝手に「読み取り」ます。そうやって描かれ、読み取られることを何度も繰り返すことによって、様々な意味合いの世界が生まれていく「場」が地図というものである、と言いたいわけです。
地図は、描き手が持っている世界像や規範、価値意識や欲望によって描かれ、また読み手によってさまざまな意味合いで読み取られるものなので、固有の構造や表情が与えられやすく、多種多様な意味合いが産まれていく「場」であるということ。

 

ここまで読んでいただいてありがとうございました。テスト勉強、頑張ってください。

本文の解説はこちら

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