「古典の裏」令和元年10月発売!!

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こんにちは、文LABOの松村です。

今回、お知らせと宣伝の記事となります。このブログ、初めて約1年間は休まず更新を続けて現在記事は400記事を超えております。そのブログで書き続けていた古典解説が、笠間書院さんの目に留まり、このほど出版する機会を頂きました。

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何故「面白く」古典を解説しようと思ったのか

授業で生徒たちに解説するとき。

ブログで古典を解説(という名のつっこみ)するとき、私が気を付けていることは、「面白く解説すること」です。

古典の授業を「面白く」感じている中学生、高校生はとても少ないです。みんな、とても嫌な顔をするし、「読むのが面倒」「役に立たない」「難しい」「つまらない」という、マイナスイメージのオンパレード(笑)。

でも、「つまらない」と言っている子は成績が下がり、逆に「面白い」と感じている子は、成績が上がってくるのです。なら、徹底的に面白く解説をし、笑ってもらった後にテストのポイントを解説してみたらどうだろうかと試してみたところ、クラスの平均点が上がりました。

そこから私が学んだことは、人間はきついことを続けようと思っても、よほどの忍耐力や意志の強さがなければ続けることなどできず、逆に面白いと感じることは勝手に覚える、と言うことです。

さらに、多くの学生が古典を学ぶ理由である、高校受験、大学受験の試験問題は、単純な訳を課してはいません。

現代語訳が出来たとしても、その内容や意味を理解しなければ、問題は解けません。そして、ほとんどの子は、「現代語訳はできても、意味が理解できない」ことが多いのです。

現代語訳はなーんとなくわかる。けれど、どうしてそんなことを書いたのか。その背景や、意味を考えない、「訳さえできればそれでいいや」と、思考停止になってしまうのです。

古典の読み物としての面白さ

現代語訳が出来ても、点数が伸びない生徒たちを前に、なぜそうなるのかを私は考えさせられました。

そうして、多くの生徒たちと話し、本音を教えてもらい、彼らの「古典を読む」という行為は、現代語訳をただ書き写しているだけ。文法事項を書き写しているだけであり、決して内容を考えているわけではない、という現実でした。

だったら、徹底的に考えてもらおうと、現代語訳をした後に、問いかけをするようにしました。

「なんでこんなことしたんだと思う?」

「ここさぁ、実はものすごくはしたないことしているんだよね。どこだと思う?」

「現代でいったら、大学生が60代ぐらいの女性に「いい女だなぁ」って言っている場面なんだけど、男子ー。共感できる? しかもそのあと、8歳ぐらいの女の子にもおんなじこと考えてるけど、両方可能だって男子、いる?」

「文字の読めなかった民衆にこのお話が人気だったのは、どうしてだと思う?」

「これって、現実的に可能かな? 清水の舞台から、両手に板持って、鳥みたいに飛ぶこと。どう考えたって、骨折するよね。骨折ですんだら、とっっても運がいいよね」

などなど、色んな側面から問いかけをし続けました。

堅苦しい古典の「裏」の顔

結局のところ、古典って過去の人々が「楽しい」「面白い」と思って語り継いだものです。

それが世の中に広がって流行になり、面白いからと読み継いで、ここまで残りました。

だから、本来古典ってとても面白いもののはずなんです。

けれど、物語を読むためにはどうしたって「知識」が必要になります。

言葉の知識。

政治の知識。

習慣の知識。

その時代の社会常識の知識。

それを知らないままに、「これは面白いものなんだ」と上から言われても、誰も読まなくなってしまう。そんなのはとっても残念だなと、授業中に眠っている生徒たちをどう起こそう。どう、興味を持たせようと考え、古典の物語の中の人々がどんな状態だったのかを想像し、イメージさせると、様々な感想が生徒たちから返ってきました。

曰く、

「この人、自慢しかしてないじゃないですか……」

「フラれ続けているのに、なんでこんなに口説き続けてるの、この馬鹿貴族」

「テストのときにはあんなに悩んだのに、こんなバカげた内容だったなんて……(恋愛ものでした)」

「なんかもう、真面目に読むのが馬鹿らしいですね(堅苦しい内容を書いているわけではないと解って)」

解ると、感想が山のように出てきました。

逆に言うのならば、感想が出てこないのは、解っていない、ということです。

古典を読むと身につく能力

テストのために読む古典、だけではなく、古典を読めるようになると身につく能力があります。

古典って、とっても省略された文章なんですね。紙が豊富になかったことも原因なのですが、全然詳しく書いていない。

なので、逆に読めるようになると、その隙間。つまり、行間が読めるようになってきます。

すると、現代語の詳しい説明の文章も行間が読めるようになってくるので、文章を読むときにイメージや想像力が自然と鍛えられますし、深読みが出来るようになってきます。

親切な文章じゃないから、最初は大変ですけど、解るようになると自然と読解能力もついてくるというおまけが。

出版に当たって

「古典の裏」の後書きにも書きましたが、ブログを書いていて出版できるなんて、そんなの嘘だろうと思っていたので、本気で「詐欺って手がこんでいるなぁ……」と思ったのは正真正銘の本音です。

けれど、出版に当たって、色んな古典の文章に謎かけやQ&Aを出しつづけ、自分でも気付けなかった切り口や、新しい読み方のヒントを、たくさんの方に助けていただき、この本を書き上げることが出来ました。

 

 

Amazonでも取り扱ってもらっています。

古典好きの人にも、古典嫌いの人にも、読んで笑っていただけたら、本当に嬉しいです。

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