こんにちは、文LABOの松村瞳です。
今回は文章テクニック第二弾。因果関係、因果律についてお話します。
受験問題の作文、小論文、就職活動のエントリーシートや面接でお決まりの質問。
『あなたの意見を書きなさい』
という質問に、あなたはすぐさま答えられるテンプレート(型)を持っていますか?
今日のテクニックは、今、これを読んで思い浮かばない方でしたら、読み終わった直後から使えます。
文章の良いところは、学ぶとすぐに実践する機会に溢れているという事ですね。逆を言うのならば、テクニックを身に付けなければ、地獄の苦しみ。産みの苦しみがずっと続くと言う事。
そして、全ておいて何よりも大事なのは基本です。
一緒に足固めをしていきましょう。
【因果関係とは】
因果関係とは何か。
私たちの日本語は、表意文字である漢字と、表音文字であるひらがな、カタカナの二つで構成されている珍しい言語です。
何だ? いきなり難しくなったぞと眉を潜めなくとも大丈夫。意味を知れば、なーんだ、そんなことかとあっさり納得します。知らないことは悪いことではありません。知らないことは、知れば良いんですから。
たとえば、「亜」という漢字には、「次ぐ、二番目、一つ下」という意味が漢字自体にあります。亜熱帯は熱帯の下。亜寒帯は寒帯の下って意味です。名前でも、亜美ちゃんなどの女の子の名前に使われたら、次女、若しくは、長男。お兄ちゃんが居る、という関係性を表していることになります。
けれど、ひらがなの「あ」カタカナの「ア」に、意味は存在しません。音だけ。それだけのもの。英語のアルファベットはこの表音文字になります。欧米言語の多くは表音文字。それらを組み合わせることによって意味のある単語を作り、文を構成しています。
なので、日本語の漢字はとても便利なんですね。意味が解らなくとも、漢字一字一字に意味があるから、分解して考えればいい。中学三年生以上だと漢文を習っているので、読み下しをすればいいんです。そうすれば、解らない熟語でも何となく意味が解る。
因果、という言葉は、二つの熟語の組み合わせです。
原因と結果。この熟語の後半の漢字。因と果をくっつけただけの言葉です。
そう。因果関係とは、原因と結果の関係。全ての結果には、必ず原因が付いてきますし、良い結果が欲しいのだったら、良い原因を作り出さなきゃならない。
良い種をまかなければ、良い果実は実らない。当たり前の自然法則です。
この因果関係を表すのに、専門の接続詞が日本語にはあります。
【因果関係の接続詞】
意外にこの二つの接続詞は知られていません。日本語と言うのは不思議で、必ず原因を書いてから、結果。結果を書いてから原因、というように、どちらが先に書くかと言う事を、厳密には定めていません。どっちでも良いんです。先に書くのは、原因でも結果でも。
けれど、人に解りやすく伝えたい時。
テーマをはっきりとさせたい。特に受験の作文や小論文書き方は、この二つの接続詞に明確な順序があります。
それをまず、徹底して身に付けてみてください。
先ずは厭きるまで徹底的にやってみる。オリジナリティを出して崩すのはそれからです。
【例文 受験問題】
「学校図書館には漫画を置くべきではない」
この意見について、あなたの考えたこと、意見をニ段落構成で書きなさい。
(富山・改)
さて、あなたはどうやって答えますか? 字数制限は220文字以内。受験作文の場合、少なすぎも駄目です。出来るのならば220文字ぴったりに書き上げる事が望ましいですが、大体字数制限の9割。此処で言うのならば、200文字~220文字の間を狙うのが望ましいです。
この手の問題には、答のテンプレートが存在します。簡単なテンプレートです。
原因を先に書くのがいいのか、結果を先に書くのが良いのか。
あなたはどちらから書きますか? 答の内容を考える前の手順として、少し考えてみてください。
↓
↓
↓
↓
解答です。
意見を述べる時は、結果⇒原因の順番です。
仕事などでの報告もそうです。意見の表明は、必ず一番先に結果を示します。スピーチでも、聞き手の負担にならず、寧ろ好まれます。
あなたの意見の書き方
自分の立場を最初に表明する。
数値や根拠を入れるのが望ましい。
問題の解答。賛成の場合
私は、学校図書館に漫画を置くべきではない、という意見に賛成です。
(①段落目に意見の表明。大概一文)
なぜなら、学校は勉強をする場所だからです。自分の趣味や楽しみの為に読む漫画は家で読むべきであり、学校でそれらが読めるようになってしまうと、勉強をする場所という学校の雰囲気が崩れてしまいます。授業中に隠れて読む子もで出来てしまうかもしれません。だから、私は漫画を学校図書館に置くのは反対です。
(②段落目に理由、原因。そう自分が思った根拠を書く。最後にまとめの結果をもう一度。)
というのが、解答の流れになります。
必ず最初の①段落目で意見表明。その後、②段落目で理由原因と役割を段落ごとに分けて書く。これだけで、かなりすっきりとした文章になります。
このルールを厳守する。それだけで、あなたの文はかなりすっきりとした印象となります。
【まとめ】
因果関係をしっかり伝えたい。自分の意見を相手につたえる、書くことを目的とするのならば、結果⇒原因の順序をしっかりと守る。
だから、なぜならの接続詞の働きを知る。
余計なことはしない。まず、基本に徹する事が何よりも大事です。
型をしっかり学んだ人は、それに慣れて呼吸をするように自然に出来るようになった時、初めて「型破り」な事を成し遂げることが出来ます。
型を学んでいない人は、ただの「型なし」となって、読まれずに不採用ボックスの中にポイッ、の運命です。
どうせなら、型をきちんと学んで物にしましょう。
人に何かを報告する時も、原因や理由と言う名の言い訳から始める人がとても多いです。ですが、これをすると、とっても相手をイラつかせるのです。
たとえば遅刻。
遅刻する、と最初に伝えれば良いのに、何故か最初の一言が、「すみません……渋滞が酷くて……」「電車が遅延しています」「朝から頭痛がして体調が悪くて……」など、前置きのように書いたり、言ったり、……していませんか?
「だから、何なんだよッ!?」
と相手をイラつかせないためにも、「遅刻します。15分後に現地に到着予定で、現在地は~~です」と、相手が必要としている情報をはっきりと伝える。謝罪はそれからです。
言い訳から始まる会話をしたいなら、それを聞く相手のストレスとイラつきを想像してからにしてみてください。特に報告事項は、原因から始めるととっても酷い事になってしまいます。
報告は結果から。
相手と解り合いたいコミュニケーションの技術は、また別に成りますので其処は混同しないように。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。明日は、対比のテクニックです。
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