世界三大裏切り者に見る、裏切りの構造。 なぜ彼らは裏切ったのか


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勝手に夏のホラーシリーズと名付けています、人間の暗黒面的なお話。呪いの次は、裏切りです(笑)

少しでも寝苦しい夜を涼しく過ごすために、人工的にクーラーで部屋を涼しくするのもいいですが、自分から寒くなる努力も必要だと思うのです。地球温暖化防止に微々たる貢献をしようかと。と言う事で、裏切り者特集。

ここに裏切り者が居る

 

【世界三大裏切り者って、誰?】

まずは世界史。

裏切り者の代名詞と言えば、そう。この人達ですよね。

イスカリテオのユダ・ブルータス・呂布。

高校生で世界史勉強している人は、もうこの時期この三人は出てきている筈なので、解らないのなら、ちょっと青くなりましょう。どれもこれも、必須人物です。この人達が有名、というよりも、この三人が裏切った相手の知名度は、歴史に名を刻む様な大物だったと言う事。

 

誰を裏切ったかと言うと、

 

イスカリテオのユダは、言わずと知れた世界三大宗教のひとつ。キリスト教のメシア。神の子イエス・キリスト。

ブルータスは、ローマ共和国最強の武将とまで言われた、ユリウス・カエサル。

呂布は…………六人全部書くのはしんどいので、代表で、三国志の三大英傑の一人、劉備玄徳。

 

それぞれ、結構な人達を裏切っています。

裏切る相手が強大だと、やっている行為は卑怯極まりなくても歴史に名を刻めるのですね。本人、とっても不本意だと思いますが……

けれど、じゃあこの三人。元々、人を裏切る様な極悪人だったと言うのでしょうか?(若干一人、怪しい人も居ますが……)

ユダは元々イエスの弟子です。そう。彼は宗教者だった。そして、ブルータスも、利発で明るい、真面目な好青年だったと言われています。

日本史最大の裏切り者で名前が挙がるのは、多分、明智光秀でしょうが、どの文献も明智はとても温厚な人柄で、品格高く、教養も随一と謳われた人だったと書いてあります。

若干胡散臭い呂布も、人柄は気の良いおおらかな人で、弱い人を助けるような人情味溢れるエピソードも残っていたりします。

えっ? そんな温厚な人達が裏切っているの? と思われるかもしれませんが、そうなんです。裏切り者って、実は結構良い人だったっていう資料が、意外にも残っているのです。

 

【真面目な良い人でも裏切る時は裏切る】

 

人は、「今、自分は悪い事をしている」と思いながら、犯罪を行うことは滅多にありません。明らかに罪を犯すことは非難されてしかるべきですが、弁護士の方や検事の方達が裁判時に被告人と接見する際のことを書かれている書物を読むと、彼らは確かに自分の犯した行為に対する罪は認めても、それぞれ、彼らは彼らなりの言い分があると言うのです。

「どうしようもなかった。あの時、ああするのが一番良いと思えてしまったんだ」

先程書いた三大裏切り者も、裏切る際の同情する余地は充分にあります。特に、ユダとブルータスは、本人の明確な意志によって相手を裏切ったというよりも、周囲の圧力に屈してしまったと言った方が正しいのかもしれません。

裏切り者は悪い人間だと、ばっさり断罪することも出来ますが、彼らは彼らなりの事情がちゃんとあったのです。信頼し、尊敬していた相手を裏切らなければいけない、ちゃんとした理由があったのです。

逆に言うのならば、人格者で真面目な人ほど、後悔を引きずりながら裏切ってしまうのかもしれません。




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どんな犯罪人にも、言い分、と言うものがあります。同じものを見ていても、同じ感想は抱かないのが、私達人間です。彼らには、裏切らなければいけないと思う様な、理由、状況、環境があったのだと、推測できます。

 

【ユダの環境】

ユダの裏切りの理由は過去から現在において、様々な人達が討論しているとても難しい問題ですが、彼の精神性や人格は一旦先ず横に置き、状況、環境を考えると、ユダはイエスの弟子たちの中で、金庫番を務めていました。金庫、つまり、会計係だった。今の様に、帳簿づけなどしていたかは、不明です。人のお金ではありますが、何時も自分の手許にはお金がある。そして、いざという時のために貯めておくものだから、基本的に使う事は無いお金です。

この状況で、清廉潔白にクリーンな状況で居られる人は、少ないでしょう。誘惑が、強すぎます。今のように、銀行に預けることなどありえず、自分がその銀行です。しかも一人で仕事をしていたのだから、誰にも咎められません。

更に、イエスは当時の権力者たちからかなり嫌われていたという事。当時の支配者からしてみれば、自分達のルールに従わない、民衆からの人気を集めているイエスは、目障りであり、常にその存在を貶められ、居場所の密告に懸賞金まで掛けられていた程でした。

自分が密告すれば、大量の金が手に入る。更に、イエスの教えをユダは疑っていた、という推測もされています。

【ブルータスの環境】

ブルータスに到っては、もっと酷い。

カエサルはローマ共和国時代の将軍です。何度も困難な戦争に勝ち、その自信たっぷりな言動と実力に、民衆からは大人気でしたが、当時のローマでは、権力をたった一人に集中させる事は何よりのタブーでした。そして、そのタブーを犯し、変革を国に齎そうとしていたカエサルは、敵も多く、最終的には暗殺されてしまいます。

将軍、という地位の名の通り、カエサル自身は武芸にとても秀でた人です。対し、彼と敵対していた元老院は殆どが文人で老人……直接向かい合っても勝てるわけがないと、唯一カエサルが武器をつけることが出来ない神聖な場所の中、彼らは数十人で丸腰のカエサルを囲み、襲いました。

暗殺、と言うよりは集団リンチに近い状況です。その時、たまたま信頼していたブルータスの姿を見つけ、「ブルータスよ、お前もか」とカエサルに言われた言葉がとても有名ですが(実際、これはシェイクスピアが考えた劇の台詞で、事実だったかどうかはわかっていません)、彼のほかに裏切り者として名を残している人は居ません。居ても、彼以上に有名な人は居ないでしょう。暗殺に関わった人間は、数十人。裏切り者と非難されるのならば、ブルータスだけでなく、その場にいた全員が非難されるべきであった筈なのに、比較的若い、そしてカエサルとの関係性が強かった彼の名前だけが、残っている。まるで、意図的に彼の名前だけを流したかのようです。その場にいた、他の人間の尊厳を守るために。

一人だけ名前が知れ渡れば、責任は全てその人に押し付けられます。その場にいた残りの暗殺者たちは、ブルータスの名前が独り歩きをし始めて、きっと喜んだことでしょう。もしかしたら、それを狙って、言葉巧みに彼を仲間に引き入れたのかも、しれません。

カエサルは、かなり強引に政治を変えようとしました。それまでの伝統を破り、巨大な軍隊を指揮できることを背景に、元老院を支配しようとしました。そして反発にあい、命を落とした。

伝統は重んじられなければならない。今まで元老院は圧倒的な存在でした。それを揺るがすことは、やはり悪だ。そんな風に、考えたのかもしれません。ブルータスは夢にも思わなかったでしょう。カエサルを暗殺して、たった16年後。自分が裏切り者の汚名を被ってまで守ったローマ共和国の伝統は、元老院によってあっさりと帝国制へと移り変わりました。

何処までも報われないブルータス……アントニウスの方がまだ幸せな時期があったのではないかと思う程です……ほろり。

きっと、元老院から、カエサルを倒すことが正義なのだ。これが正しいのだと、説得を受けたのかもしれません。

 

【裏切りのポイントは、人格では無く環境】

裏切られると、人は相手の人格を疑いたくなります。勿論、元々人を信用しない人。人として信頼出来ない人も居ると思いますが、そのような相手に裏切られたとしても、心のダメージは比較的少なく済みます。傷付くことには変わりありませんが、何となく信頼出来ないと思う人に裏切られたとしても、「ああ、やっぱり」で済む。何処かで諦められるのですね。

 

けれど、本当に辛いのは、信頼していた人に裏切られた時です。

信じていたのに……と、まるでドラマのセリフの様ですが、信頼を寄せていた人に裏切られる事は、これ以上ない痛みと成ります。

史実で裏切り者の代名詞となっているユダはイエスの選りすぐりの弟子の一人。

ブルータスはカエサルが厚遇した腹心の部下。誰もが「彼だけはカエサルに味方するだろう」と言われていたほど、カエサルが信頼していた人物です。けれど、暗殺者の一団に加わってしまった。

呂布も、多くの英傑を裏切っていますが、それだけ歴史に名を残す様な人物と近付けるだけの才覚があり、登用されてと言う事は、信頼を勝ち得ていた人物だと言う事です。

 

それぞれ、才能があり、有力者と信頼関係を結ぶほどの人間的な魅力もあった。

けれど、裏切った。

これは一体どういう事なのか。彼らの人格が元々下劣な人だったからと言う事でしょうか? それとも、違う事に原因があるのでしょうか。

そう。裏切りに人格は関係ないのです。

というよりも、人格が正しいから、優しい、真面目で、信頼がおけそうな人だから裏切らない、という確証は持てません。

ユダにしても、目の前を大量のお金が通り過ぎていき、誰もそれを監視しない。自分が使ってもばれない環境が整えられていた。だから、使いこみをしてしまい、それが発覚しそうになり、自分の罪を誤魔化す為にイエスを密告し、金を貰った。ユダがもし、お金を自由に扱える立場に居なければ。更に言うのならば、誰かチェックをする人間が常に傍に居たならば、結果はどうだったでしょう。

ブルータスもそうです。カエサルの強引な権力の奪取は温厚な彼の考えとは合わず、元老院の説得の方が一理ある。カエサルをこのまま自由にしておけば、ローマが滅びてしまうと、危機感を抱いたからです。

呂布は元々、強欲な人物です。能力はあっても、利がある方に常に流れていく。良いように言うのならば、上昇志向が強く、常に強い人物を求めている、とも取れますが、悪い見方をすれば、弱い人間は切り捨てる。自分の利益に成らない人間には、冷酷だとも言えます。

呂布は少し例外に見えますが、ユダとブルータスは環境が違えば、結果が変って来たのではとやはり思ってしまいます。

 

そう。人が人を裏切ってしまうのは、人格では無く、その人がおかれた環境に原因があります。

つまり、私達は皆。誰もが人を裏切ってしまう可能性がある、と言う事なのです。

 

えっ? と思ったところで、続きはまた明日。

ブルータスもシェイクスピアのおかげで、こんな後世の人々にまで語り継がれる裏切り者に成ろうとは、思ってもみなかったでしょうね。ほろり。

 


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