ラップトップ抱えた「石器人」 解説その4 まとめ

ラップトップ抱えた「石器人」
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ラップトップ抱えた「石器人」の解説、まとめです。

自分が解ったことを書いてまとめる それが一番の勉強法です。

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【読んだ後にすること】

どの評論文でもそうですが、読んだ後に「何が書いてあったのか」と言うことをまとめる必要があります。

-評論文のまとめ方-

ポイントは次の二つ。

筆者は何を問題としているのか。

その原因と解決方法は?

もちろん、全ての評論文にこれが当てはまるわけではありませんが、筆者が何を言わんとしているのかは、このポイントを改めて振りかえってみると一つの読み解く指針となります。

何一つ目標も持たずに読むのと、ポイントを「何を問題視しているのか」「その原因と解決方法は」と、地図を持って読み進めるのでは、目的達成度が違います。

要するに、理解がしやすくなる。

なので、試しにやってみましょう。

-筆者の掲げた問題点-

筆者が例示で問題として挙げているのは、科学施設でのエラー。しかも、大惨事になっているのに、その原因が技術的なものではなく、ヒューマンエラーに限定されたものだけです。

要は、「あー、あれ、危ないと思ってたんだけど、まさかあんなことになるなんて、ねぇ……」というやつ。

これは、その組織の危機管理に問題があったからなのだろうか。けれども、世界中でこういう話は数多く起こっている。その原因は、もしかしたら能力の優劣や人種間の問題などでは全くなく、違うところに存在しているのではないか、と筆者は推測しています。

なんで、ヒューマンエラーが無くならないの?

筆者が思った疑問です。

-原因-

問題が起こっているのならば、必要なのは、「どうしてその問題が起きたのか」ということを調べる事。

その時に、様々な例示が出されます。

時に、人間にとって不都合な事実も沢山出てくる。それを分析、精査するのが評論家です。

筆者が気付いたのは、リスクの認識に問題があると言うこと。

認識、とは認知とも言いますが、人によってこれは異なります。

同じものを見、同じものを読んでも、理解能力や受け取り方、好き嫌いももちろんありますが、人は本当に千差万別です。認知の差とは、個人個人で違うものですが、危機管理についての認知はどうなのか。

筆者はそこに目を付けました。

個人と集団での、リスク認知。

それは、個人の危機管理能力については文句なく私たちは高いのに、集団になると途端にその意識がぼやけてしまう、ということです。

更に、物事の見方には、慣性の法則が働きます。

「今まで大丈夫だったのだから、次も大丈夫だろう」

そういう気持ちをどうしても人間は持ってしまう。安易に今までの結果を信じて、真の危険を顧みなかったことを、ギャンブラーの誤謬を用いて、説明しています。

では、この考え方が有効だったのは、いつの時代なのか。

筆者の観点が優れているの、この部分です。

本来ならば、そういう傾向性がある、ということで思考が止まってしまうことが殆どですが、視点を変えます。その原因を責めるのではなく、この傾向は一体いつ、どこから始まったのか。

問題を解決したいのならば、まずそれと真摯に向き合う必要がある。NASAや原子力発電所に代表される科学施設を責めたとしても、何の問題解決にもならない。

本当に利益が高いのは、事故の再発防止です。

ならば、「どうしてそうなるのか」ということに、とことん筆者は向き合った。

-石器時代の人間の脳-

個人の感覚が中心。そして、経験を生かして、未来を類推して、今まで通り同じことが起こると考えるやり方を人間がしていた時代は、石器時代です。

そして、石器時代を調べると、実に200万年前から、一万年前まで(旧石器時代)という、膨大な時間となっている。

筆者が五万年前に人間の脳が出来あがったと書いてあるが、現代文明が約4000年から8000年ほどの歴史の上に成り立つとして、その間の脳の進化と、約五万年もの時間の間に蓄積された脳の遺伝子と。

時間に比例して、遺伝子は影響を受けるはずだから、私たちの脳は未だに石器時代の人類と然程変わっていない。

それを、危機管理の感覚と、物事の慣性の法則から、筆者は類推させている。

ヒューマンエラーの原因は、私たちの脳の構造が、まだ個人で危機管理を行っていた石器時代人と変わらない感覚を持っていて、団体の中で危機を管理する感覚が、まだ脳の進化に組み込まれていないが故のエラーである、と結論付けています。

ヒューマンエラーは、偶発的にたまたま起こるものではなく、私たちの危機管理の感覚。集団になると、途端にそれが鈍くなってしまうことに、原因があるのだと。

-改善策-

筆者の提案するこの問題の改善策は、それに、「気付く」こと。認識をすること、です。

人は、自覚した時に、自分の癖を直せると言います。なぜなら、気付かなければ直しようがないから。

自分が間違っていると気付かなければ、一生問題など解決できません。けれど、気付けば、「直そう」と思えてくるようになります。

だからこそ、筆者は、私たちはラップトップを抱えているけれども、脳は石器時代の人々のものと同じで、感覚は現代に追いついていってないのだから。諸々の問題が起こっている。ヒューマンエラーも、そのひとつ。

だから、その事実に気付いて、認識を持とう。と訴えています。

これ以上、大きなヒューマンエラーを起こさないために。エラーをなくすために、必要なのは謙虚な私たちの認識だと。何一つ、私たちは100年前と比べて優れてなどいないのだということを、認識しましょう、と。

【定期テスト対策】

では、定期テスト対策問題です。

-予想問題その1-

第7段落目にある、この教訓はあまり生かされていないようだ。」という、部分。

これは、どういったことを言っていますか? 説明しなさい、という問題が出た場合。

ポイントは、「この教訓」という、指示語です。

教訓とは、物事や経験を通して、発展・成長の為の糧となるものです。

つまり、成長や発展の糧となるものがあるのに、それが生かされていない。つまり、無視されている。取り上げられていない、ということ。

ポイントは、教訓の内容です。

更に、それが生かされていない原因も、合わせて必要です。

解答のテンプレートは、

「(教訓の内容を違う言葉で表す)は、~~~と言った理由で、(「生かされていない」を別の言葉で表す)こと」

この形をまず決める。それから、内容の置き換えです。

こうやってみると、ほとんど本文の文章の言葉や指示語を違う言葉で表しただけですよね。

国語の解答は、ほとんどがそうやって作られています。

違う言葉で言いかえる。違う表現で書きかえる。ただ、それだけなんだと理解してください。

では、この教訓の内容です。

これは前文から明らかですよね。

大事故は、ヒューマンエラーが原因として起こっている、ということ。

ここで、この教訓を生かせば、どうなるでしょうか? そう。ヒューマンエラーが無くなるように、対策を講じますよね。

けれど、「生かされていない」ということは、そう。対策をしていないってことになる。

だから、ここまでを解答のテンプレートにぶち込むと、

「大事故は、ヒューマンエラーが原因として起こっているのだが、~~~~という理由で、対策は全く取られていないこと」

と言うことになります。

後は、真ん中の理由だけ。

理由は、本文を読めば分かりますよね。

ヒューマンエラーを過小評価している、とある。

そして、そのひとつ前の段落に書いてあるのは、ギャンブラーの誤謬です。

ヒューマンエラーを問題だと認識していない。
過去において事故が起こっていないのだから、次も事故は起こらない、と思い込む。

この二つが、原因として限定できます。

なので、あとはその二つを織り込めば大丈夫。

「大事故は、ヒューマンエラーが原因で起こっているのだが、私たちはそれを問題だとは認識しておらず、過去において事故が起こらなかったのだから、今度も起こらないだろうと思い込んで、具体的な対策を全く取ろうとしないこと。」

が、模範解答です。

問題があるのに、それを認識していない。認識していないんだから、対策なんか取りようもない、と続くわけです。

だから、問題の認知。気付きが必要なんだよ、という筆者の主張とも繋がりますよね。

-予想問題 その2-

第11段落。

問「ラップトップを抱えた石器人でもあるのだ」とは、どういうことか。説明しなさい。

タイトルにも関わってくる問題です。

ここで、ラップトップとはどういう意味なのか。

石器人とはどういう意味なのか。

両方とも、違う言葉で言い換える事が、解答のテンプレートです。

ラップトップはパソコンです。つまり、現代科学の象徴。

ならば、違う言い方をするのならば、私たちは現代の科学技術を抱えて生きている、ということ。

科学技術の進化と共に、生きている現代の私たち、が、ラップトップを抱えた現代人、と同義語です。科学技術は周囲の環境を激変させるツールです。

確かに、スマホができてからと言うものの、生活様式はガラッと変わりましたよね。

ならば、石器人はどういう意味なのか。

これは、科学技術が周囲の環境なら、石器人は、私たちの肉体。つまり、脳や遺伝子、感覚のことを指します。対比なんですね。この文章。

脳や感覚は、石器時代のまま進化をしていない。

周囲は驚くべきスピードで変化している。激変とも言って良い。

けれど、私たちの肉体は全く変わっていない。

と、どうなるか。

当たり前ですが、混乱します。自分は止まっているのに、周りだけすっごいスピードで動いていたら、まぁ、焦りますよね。

そして、ついていこうと必死になっても、ついていけない。

そんな状態なのだと、筆者は言いたいわけです。その状況を、認識してと。

なので、模範解答は、

「日々進化する科学技術の発展とともに私たちは生きているが、脳や感覚は石器時代から変わっていないため、現代人は科学技術の進化のスピードについていけない状態にあること」

となります。

是非、定期テストの際に、参考にしてみてください。

そして、読むだけでなく、自力でこの文章を書けるかどうか、やってみる。不完全でも構いません。その一度の挑戦が、徐々に効果を出してきます。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。

もう一度最初から読む。

ラップトップ抱えた「石器人」 解説その1

ラップトップ抱えた「石器人」 解説その2

ラップトップ抱えた「石器人」 解説その3

 

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