ファッションの現象学 論理国語 テスト対策問題

テスト対策

筑摩書房の論理国語から、河野哲也著「ファッションの現象学」のテスト対策問題です。

それぞれ、解説とヒントを付けましたので、分からなかったときそれを読みながら、解答を1度自分で書いた後で模範解答を読んでください。

国語の問題を解く時の注意事項

毎回毎回書いておりますが、解く前に解答を読むことはやめてください。

数学などと違って、国語の解答は自分の頭の中にある「答え」「概念」に形を与える行為です。そこに外側から正しい「模範解答」という形を与えてしまうと、

 

「ああ!!そうそう!これが書きたかったんだよ。解ってるなー、自分」

と、まるで自分が出来ているかのように勘違いしてしまいます。

 

思考停止です。

そうではなく、苦労して考えて、そして間違える。訂正をする。

そのめんどくさく、手間のかかる行為が、地に足をつけた「国語の勉強」になります。

解答が書きやすいように解説・ヒントを付けました。

それを参考にして、自分なりに自分の手で解答を実際に書いてください。そして、一度で終わるのではなく、解説やヒントを全く読まずにもう一度解答が構築できるかどうかを試してみてください。

その繰り返しが、文章作成能力、解答に導く力を養ってくれます。

それこそファッションではありませんが、解答を模倣することは簡単です。正解者に同化し、自分を「出来た!!」と見せかけることは可能でしょう。けれども、テストでは模倣する文章が目の前にあるわけではないので、自分で作りだしましょう。

その練習の第一歩です。

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問題

問1

次のひらがなを漢字にしなさい。(本文中の漢字を使う事)

(1) きかざる (2) きょうじてき (3) もほう (4) でんぱん (5) りょうかてき
(6) 社会的かいそう (7) るいじ (8) きくずす (9) とくちょう (10) けいちょうふはく
(11) けいはく (12) きょむ (13) じゅんすい (14) ゆうぎ (15) てってい
(16) きょひ (17) とくじつ (18) けいけんな教徒 (19) ちつじょ (20) ようかいさせる
(21) しゅうえん (22) ぶんすいれい (23) じゅうこう (24) ふきゅうの名作 (25) がいねん
(26) じょうとうく (27) らくいん (28) きぞん (29) いつだつ (30) がかい
(31) 仮面をかぶる (32) てきおう (33) 平和のひょうしょう (34) てんけいてき

漢字を覚えるポイント

これはあらゆるものを記憶するコツなのですが、書いても覚えられない場合は、意味をきちんと考えると覚えやすくなります。

漢文の読み下しを利用し、熟語を文章で読み下してみます。「読書」➡「書を読む」といった具合に。

もちろん、熟語の組み合わせには色々あるので全てが文章のように読み下せるわけではありませんが、そういう意識で見てみると漢字を組み合わせて言葉が出来ていることが分かります。漢字は表意文字(文字自体が意味を表している記号)なので、とにかく意味を1つ1つ考えると、覚えやすいし、印象に残りやすくなります。急がば回れ。余計なことをした方が、脳は覚えてくれるんですね。その性質を利用しましょう。

(1) 着飾る (2) 共時的 (3) 模倣 (4) 伝搬 (5) 両価的
(6) 社会的階層 (7) 類似 (8) 着崩す (9) 特徴 (10) 軽佻浮薄
(11) 軽薄 (12) 虚無 (13) 純粋 (14) 遊戯 (15) 徹底
(16) 拒否 (17) 篤実 (18) 敬虔な教徒 (19) 秩序 (20) 溶解させる
(21) 終焉 (22) 分水嶺 (23) 重厚 (24) 不朽の名作 (25) 概念
(26) 常套句 (27) 烙印 (28) 既存 (29) 逸脱 (30) 瓦解
(31) 仮面を被る (32) 適応 (33) 平和の表象 (34) 典型的

 

問2

本文全体を踏まえて、筆者が意図する「流行」と「伝統」をそれぞれ違いを明確にして説明せよ。

解説

評論でよくある言葉の説明をさせる型の問題です。

この場合、似ている言葉の微妙な違いを問うものか、対比的で対照的な言葉を説明させるものに分類されるのですが、今回は「流行」と「伝統」なので、それらの特徴を本文から抜き出します。

ここで注意しなければいけないのは、筆者は第2段落で「流行」と「ファッション」と「伝統」に対して説明をしている点です。それらをきちんとまとめ、「流行」と「伝統」の部分が、対比として成立するように、書く順番にも気を付けて解答を作成してください。

対比の作り方
流行は、Aで、Bで、Cである。
一方、伝統は、Dで、Eで、Fである。
A⇔D、B⇔E、C⇔F、それぞれが対比を形成
ここで順番を出来る限りそろえることがポイントとなります。(比べるものを例示で流行と伝統で書いています。)
本文から「流行」と「伝統」の説明部分を抜き出して、メモをし、くらべてみる。
・「流行」=スタイルの共時的模倣、急激な速さで広まるもの
・「伝統」=スタイルの通時的模倣、過去の様式を受け入れるもの、服従や訓練や教育によって人工的に身につけるもの

「流行」と「伝統」で本文から抜き出したものだけでは、綺麗な対比になっていない部分が細かくあります。それを補完して、本文全体の意図を組み込み、対比を完成させること。

「流行」はスタイルを共時的に模倣することで、急激な速さで広まり、自由に本人の意志によって身に着けるものだが、「伝統」とはスタイルを通時的に模倣するもので、過去の様式を受け入ることから広まりは限定的であり、服従や訓練や教育によって人工的に身に着けるもの。

問3

ファッションは、自分たちの集団を他の集団から区別し、差異化させることで自分たちを際立たせる作用を持ち、同じスタイルを保持することで帰属する集団の中に同調するという相反する作用を持つのに、同調したグループの中でさらに「帰属しているグループ内で自分個人を差異化する」(第5段落1行目)のは何故か。簡潔に説明せよ。

解説

ファッションのもつ機能性、作用、効力についての問題です。
本文の中で強調されているのは、「差異化」ですが、同時に「両価的」な面も備えているのがファッションです。帰属しているグループの仲間を模倣・同調しながらも、他のグループからは自分たちの集団を差異化する作用を持ちます。

けれども、やっと同調したと思ったグループのなかで、更に差異化をしようと試みるのは何故なのか、を問われています。そのグループの中に存在したいから、スタイルを真似るわけです。そのスタイルから逸脱すれば、その集団の中に居られない危険性もあるのに、何故そうするのか。

その理由を捕らわれているわけです。

記述の注意事項は、理由を問われているので、「~~から」「~~ため」という形で解答は必ず終わること。

まず、第5段落の2行目からをよく読む。
そして、理由がその後段落全体にわたって書かれているので、「~によって」などの条件を示す部分を捨てて、文末を中心に結論のみ抜き出してみる。
並べてみると、
「グループの中で個性を出す」
「個性の主張となる」
「自分なりの個性やアイデンティティを出せる」
この3つを解答としてまとめる。
☆新しいスタイルの創出はまた別の話なので、入れない事。
グループ内での自分の個性を主張し、自分なりのアイデンティティを出すため。

問4

第10段落「ファッションはあまりに軽薄なやり方で重厚な生の事実を示す」とあるが、これは具体的にどのようなことか。特に「生の事実」の内容を明らかにして、説明しなさい。

解説

この手の「説明しなさい」系の問題は、「違う言葉で言いかえろ」の合図です。

なので、説明しろと指定された文章の形(主語述語や目的語の位置)はそのままで、ほんの少しでも違う言葉で置き換えて説明することができれば(かつそれが当たっていれば)点数がもらえるボーナス問題です。

 

ということは、解答は「ファッションは(~~~~)なもので、生が(……………)の事実を示すこと」というざっくりとした型が出来上がりました。これに適宜入れて、矛盾なく、読みやすいように変えて行けば大丈夫です。

型は分かっているのですから、「どうやって書けばよいかわからない」という悩みからは解放されました。これは受験や模試などでも使えるテクニックなので、ぜひ身に着けてください。

更に、問題に「具体的に」や「明らかにして」などの注意書きがあった場合は、「(固有)名詞を使って説明しなさい」という事であり、詳しく書けば書くほど良いことになり、自然解答の文章量は増えます。簡潔に書いても点数はもらえない問題だと思ってください。

 

「重厚な生の事実」を説明する。
「軽薄なやり方で生の事実を示す」の部分の直前に、「ファッションは死と終末を予感」とあるので、これと「生の事実」を結び付ける。「生の事実」=「死」 この部分を明確に解答に書くこと。
生は変化し続けるものであり、やがて「死」という変化を迎えるものに過ぎない事実を、ファッションは示すことが書けていればOK。

 

ファッションの説明内容をまず考える。
「あまりに軽薄なやり方」とあるので、軽薄なファッションの部分を強調して書けばいい。
これは第7~11段落から、ファッションが「軽薄」と思える表現を抜き出していく。「あまりに」とあるので、多ければ多いほど良い。解答的に多いのは、4つ以上。(例示で3つまでは通常です)
ファッション=ただ変化するだけの存在(第8段落)
軽薄と思える表現部分=進歩、発展、目的、徒歩、意味のある方向性、等をもつ変化ではない。
深みの不在、深みの拒否、世界の無根拠性を暗示、権威の否定、不変不朽の価値や目的に疑いをかける、世界の意味を台無しにする、などなど。
これらの中から適宜解答に必要な部分を取り出して説明する。
この部分は難しいので、もし理解できない場合は解説に戻り、読み直してから挑戦してみてください。

 

ファッションは目的や価値や意味のある方向性がなく、根拠も必然性もなく、当然深みもない。あるのはただ変化するものという特徴だが、その「ただ変化する」という軽薄さは、重みがあるはずの生も、いずれ根拠もなくただ死に至るというただの変化に過ぎない事実を、私たちの目の前に突きつけてくるということ。

問5

第12段落「変身とは、現在の自分からの逸脱である。」とは、どのようなことであるか。「人間の身体」と「動物の身体」ということばを用いて説明しなさい。

解説

二つの言葉が指定され、それが対比関係に思えるような言葉の場合、解答は対比で比べながら書きなさい、という指定になります。

なので、変身が「動物の身体」にとっては何を意味するのか。

「人間の身体」に対しては、「現在の自分からの逸脱」であり、それが何を意味するのか、を対比関係として解答に書き込めばOK

この場合、本文から「動物の身体」「人間の身体」「変身」の表現を検索し、その前後の説明を書きだし、追いかける。
・「動物の身体」は環境への適応を表現している。
・「人間の身体」=「自分を取り巻く人間関係に変化をもたらすような身体性を獲得すること」=「新しい人間関係のなかに生きる新しい自分を創出しようとする願望」

 

動物の身体が環境への適応を表現しているように、人間の身体も現在の自分を逸脱して変身することで、新しい人間関係のなかに生きる新しい自分を表現するということ。

 

問題は以上です。

理解を深めるために、最低でも2度問題を解いてみてください。
1度ですと、却ってやったことで混乱し、定着しないままテストを受けることになるので、点数が下がる傾向にあります。必ず、2度。出来れば日数を数日明けて、少し忘れたところで挑戦してみてください。

 

では、ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

テスト勉強に役立てれば幸いです。

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