思考バイアス 解説その4

思考バイアス
mohamed_hassan / Pixabay

思考バイアス 解説 4回目。

今回は、最後までの解説です。(その1 その2 その3)

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【前回までのまとめ】

-私たちの思考は偏っている-

私たちはある程度、先を予想する力がついています。

けれど、その推論には、簡単にバイアス=偏りが懸ってしまいます。その種類は、3つ。

・選択肢を最初から限定する「確証バイアス」
・目立つ二つの出来事を因果関係として考えてしまう「関連性の錯誤・相関の錯覚」
・精神的負担がない肯定の情報ばかりを集める「肯定性のバイアス」

それぞれを細かく見ていくと、「良くあるなぁ……」と思うものばかりです。人って、何かをくっつけて考えることが、こうやって振り返ると大好きなんですね。

-推論は、生きのびるための進化の過程で身についたもの-

では、そんな偏りのある考え方を、どうして人間は身に付けたのか。

それは、石器時代はそうやって推論をした方が、生きのびる確率が高かったからです。

もちろん、確実ではありませんが、様々な出来事から論理展開をし、予想をしてて行動した方が、危険を避けられた。

だから私たちは推論を身に付けたのです。

なので、それを無くそうと思っても、否定しても仕方がないことなんですね。

 

-全く関係のないものまで結びつけてしまうのが、迷信の許-

でも、人間、「自分の思考は偏ってなんかいない」と思いたくなるもの。

なので、現在世の中に多く存在する迷信は、この推論の機能が働いた結果だと言えます。

石器時代ならば、集団で生活していたとしても、小規模の集落だったので拡散されたり、記憶されたりすることはなかったのですが、言語が出来たことによって記録され、都市化が進むにつれて情報は早く、手軽に伝わるようになりました。

だからこそ、個人が無理矢理くっつけたものが主張され、それが人から人へ伝わり、同じ様に同意をする人たちの中で記憶され、残り、迷信となっていった。

ジンクスも、同じ様な作用だと筆者は主張します。

何でも関連付けてしまう。そんな傾向が私たちには、ある。

なら、そのバイアス、偏りに影響を受けないようにするために、私たちはどのようなことが出来るのでしょうか。

続きを読んでいきましょう。

【第9段落】

いつ如何なるときでも、調べるって大事ですよね。

-バイアスに影響されない推論-

このような「関連性の錯誤」に陥らないための推論の方法がある。(本文より)

はい、結論の段落がきました。

具体例から、一般論(目立つものを繋げて、それを正しいとしてしまう)を示し、その一般論の否定(推論は偏りが生まれる)をし、その後、考察を足し(何故偏った思考が為されるのか、確証がある諺とない諺の違い)、最後にその考察を踏まえた結論を導いています。

この結論に繋がる論理は、その前の諺のことを考えると、解りやすい。

根拠の正しい諺と、根拠のあやしい諺の違いが何なのか。

それを考えてみると、筆者の言いたいことが解ってきます。

-推論を誰が見ても解りやすい数値化に発展させる-

ここで、ラストに具体例が挙げられています。

 

AとBという事象が起こった時。

Aは(地震が起こった)という現象。
Bは(ナマズが暴れた)という現象。

なまずが暴れると、地震が起こるという迷信があります。

けれど、この関係性を調べるのならば、

①Aが起こって、Bも起こった。
②Aが起こって、Bが起こらなかった。
③Aが起こらなくて、Bが起こった。
④Aが起こらなくて、Bも起こらなかった。

という、4つのパターンを作り、ある一定の期間、調査し、数値化し、①の確率がどれだけ起こるのかということを調べなければ、正確な関連性など「ある」とは言えない、ということです。

つまり、超詳しく、「そうではない」という可能性を入れて、考え、調査しろということです。

それが唯一、バイアスに影響されない推論のやり方です。

-「空想から科学」とは-

まさに「空想から科学へ」の手続きを経た推論を行うべきなのである。(本文より)

空想、とは単なる思い付きです。

けれど、科学の発展はそもそも全て、科学者の突拍子もない思い付きからです。だからこそ、それを確実なものにするためには、「科学的」に考えなければならない。

では、「科学的」とはどういうことか。

それは、

・誰が見てもはっきりと解る、明確なもので表す。(数値化する)
・誰がやっても、同じ結果が得られるようにする。(普遍化する)

1+1=2、は誰がやっても同じ結果になりますよね。

疑問も何もない。はっきりしています。その理屈と論理を知っていれば、誰でも使えるもので、客観性があります。

つまり、推論。頭の中で考えている事をちゃんと誰の目にも明らかな形にし、それを数値化して、関連性があるかどうかを、選択肢を複数作り、それを調べ、確率をだし、確かさを確認する。

その過程が、「科学的に考える」ということです。

つまり、

・目に見えない思考(主観に満ちたもの)
・自分だけが出来ること(個人の能力頼み)

というのは、「科学的」とは言えないものなんです。

だからこそ、根拠がしっかりしている諺は、長年の観察と資料の蓄積によって、誰が見ても同じ結果が出る分析を繰り返しています。

テレビで毎朝天気の話題は必ず取り上げられますが、気象予報士がテレビのチャンネルごとに違う天気を予報していたら、それは「科学的ではない」方法で天気予報をしている事になります。

【今日のまとめ】

-バイアスを省きたければ、数値化しろ-

もし、自分の視野が狭まり、一つしか考えが浮かばない時。それが確かなものだと確かめたい時は、まず、否定的な可能性の選択肢を作り、誰の目にも明らかな文章化をし、数値化をし、確率を求め、確実性を調べる作業が、唯一バイアスに影響されない考え方である。

・自分の思考は、偏りがちになる。
・それにまず気付く。
・可能ならば、否定的な選択肢も含めてつくり、両方を同じだけ可能性を考えてみる。

そんな意識が、物を考える時に必要なのでしょう。

明日は、全体のまとめです。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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