こんにちは、文LABOの松村瞳です。
今日も夏休みシリーズ読書感想文編。
炎天下の日中に長時間は論外ですが、家の中に閉じこもるのも夏は勿体無いです。紫外線を浴びることによって、頭も良くなったり、スドレス発散に効果が高かったりもしますので、是非外に出てください。あくまでも、対策は万全に。
【コンクールは楽しんで】
今回は、読書感想文に付き物のコンクール対策です。
別にそんなの気にしないという人も居るでしょう。でも、(これを書くと腹黒いと言われそうですが……)受験の内申点。上げたくないですか?
読書感想文の受賞歴というのは、内申点にかなりの影響を及ぼすものです。それ以外にも、子供の視点や想像力を引き上げ、何よりも文章を書くことに対しての抵抗を感じなくなります。
習慣は早いうちに付けた者の勝ちです。その努力のご褒美として、賞が貰えたらラッキー、ぐらいの気持ちで挑戦してみてください。
不思議なんですが、賞を取りに行こう!! とやると何故か取れません。(受験も同じです)
楽しくて仕方がないとやっていたら、ぽんっ、と賞が転がり込んできます。
キーポイントは楽しむこと。
楽しくて仕方が無い事をやっていると、自然と結果が付いてきます。なので、自分の大好きな本を選んで、友達にお喋りするぐらいの気持ちで、楽しくやりましょうね。目をきらっきらさせて。
【特徴その1 文章の欠点がない】
残酷な世界~あなたの文章は最後まで読まれない~でも書きましたが、文章に欠陥が存在すると、最後まで読んで貰えません。これは、必須の作業です。
やり方が解らないという人は、自分の書いた文を出来るだけ、沢山の人に読んでもらってください。出来れば、大人に。
そして、子供の文章を読むお母さん、お父さんにお願いです。直さないでください。
おかしいなと思う部分に線をひいて、「ここ、良く解らないな」と言ってあげてください。
直さない。指摘するだけです。漢字のミスは絶対的に正しい物が存在しますから、どんどん訂正が入っても子供の心が傷付くことはありませんが、基本、私たちには文章を褒めて貰いたい願望があるので、訂正が入ると傷付きます。繊細なのです、私達。
だから、「ここ、何かおかしいね」と、指摘してあげるだけで、正解は子供たちに考えさせて下さい。
文章の正解は、漢字と違って無数に有ります。
解らないと困っていたら、国語の教科書の文や絵本。小説などの文を読ませ、「人はどう書いているのかな?」と、他人の文を読むことを勧めてあげてください。
人は、困った時に学習能力が向上します。
「どう書けばいんだよっっ!!」
と、困って始めて、色々頭を使って考える様になるし、参考になると思って小説家の文章や国語の説明文の文章を読むと、子供の脳は恐ろしい早さで吸収し始めます。
そう言う意味では、読書感想文って素晴らしい宿題なのです。
やり方までセットで指導して、始めて効果を見せる宿題では、ありますが。
【特徴その2 登場人物と自分との比較が書かれている】
本が人類最高の知の宝庫だと言われているのは、他人が行った事を疑似体験することが出来るからです。
人間の時間は高々百年程度の寿命しか与えられていませんが、文字を開発し、記録するという行動を通して、人は他者が何十年もかけて築き上げたことを、短時間で身に付けることが可能となります。
感情もその一つ。
ただの文字の羅列では無く、小説はそのお話の中で人がきちんと『生きて』います。様々な体験をする主人公の行動や気持ちを追いかけることで、自分と違う人間の思考を体験することにより、視野がひろがり、「こう考える人もいるんだ」と理解していく。
比較出来る、と言う事は、本の中の人間が頭の中できちんと人間として生きている、と言う事です。想像力の育成につながります。
そして、この比較が出来ると言う事は、自己分析も出来ていると言う事。
自分だったら出来る、出来ない。こんな行動はしない。それは何故なのか、という理由もきちんと書かれていたら、自分の強い部分や弱い部分も、認められるという事になります。
この自分の弱い部分を受け止められるかどうか。認められるかどうかが、賞に入るキーポイント。
【特徴その3 内容に失敗体験がある】
昨日の知っているのと知らないのでは、楽さが大違い 簡単に書く読書感想文の書き方でも、書きましたが、自分の体験談を必ず入れること。これは、賞に入る人の読書感想文には共通していることです。しかも、人の目に止まりたいので有れば、成功よりも失敗体験の方が良い。
何故かというと、人は最初から成功している存在よりも、成長し、変わっていく存在に心惹かれるからです。
あなたが審査員だったら、どっちに惹かれますか?
・最初から何もかも上手く出来て、物凄く賢く、強い子供。
・欠点があり、色んなところで失敗を繰り返しているけれど、ゆっくりでも着実に失敗を成長につなげている子供。
成長は、変化する、と言う事です。
自分には絶対に出来ないであろうことを主人公達が本の中で行っていて、それをただの仮想空間の出来事としてではなく、現実と同じ重さで受け止められた時、想像力が急激に伸びます。
本の中で心惹かれた場面、と言うのは、大なり小なりその人の失敗や欠点と密接に繋がっています。共感する場面もそう。同じ環境、同じ境遇である存在に、私達は親近感を抱きます。
だからこそ、親近感を抱いた人物が、もがき苦しみ、足掻きながら成長する姿に、人は心を動かされる。
なので、主人公と同じような失敗をしたことがある。または、したとしたならば、と仮定し、同じような行動が取れるのかと、自分に問い掛け、自分と対話をする。
その過程を自分の心に素直に書いた人が、賞に入ります。決して、学校側が求める様な「良い子」では無く、自分の感覚や直観を大事にしてください。それが出来る様になれば、賞よりも大きい物を手にすることが可能となります。
【特徴その4 改善点が書かれている】
そして、まとめです。
本を読む前は意識もしていなかったことが目に付くようになった。
主人公達の様には出来ないかもしれないけど、自分に出来ることをやってみた。若しくは、やってみたい。
言えなかった言葉を、試しに言ってみようと思う、
そんな些細な日常の変化を、書いてください。
本を読んだことによって得たことを、自分の生活の中に取り入れてみようとする意志を。素直にそれを書いてみてください。
【あなたの感想はあなただけのもの】
ここで一つ注意です。
読書感想文は、正解があるものではありません。模範解答など、無いのです。同じ小説を読んだとしても、人によって違う感想を持つのは当たり前。
だから、人と同じでなくとも構わない。あなたの感覚を、あなた自身が一番大事にしてください。人や自分を傷付ける様な感想以外だったら、どんなものでも構いません。遊びたいとか、頑張りたくないとか、受験なんて来なきゃ良いのにとかでも、大丈夫。押し込めるのではなく、それをきちんとあなたが感じてあげてください。
自分の感想を、自分が一番大事にする。人と違ってたって良いんです。違う答でも、構わない。
自分と全く同じ人間が居たら、気持ち悪いだけです。だから、違う事を恐れずに、胸を張って、自分にとっての答を形にしてください。
【書くことは自分を知る作業】
読書感想文に限らず、文章を書く。文字を書く、ということは、自分との静かな対話です。
頭の中に、天使の自分と悪魔の自分が常に居て、どっちが悪いとか、こうした方が良いという会議を常に私達は行っています。腹黒い自分も居れば、人に親切に出来る自分も同時に存在する。
必要なのは、自分の中の悪魔を殺すことでは無く(それは、不可能なのでやっても無駄です)、付き合い方やコントロールを覚えることです。それは、ちゃんと話し合わなきゃ、無理です。
だからこそ、向き合ってみましょう。
もし、子供たちにやらせたいなぁ~と思っているお父さんお母さんがいらっしゃったら、同じ本を読んで、お母さんやお父さんも読書感想文を書いてみてください。そうして、見せあってみてください。
そうしたら、宿題ではなく、読書感想文は家族のちょっとしたイベントに変わります。
どうせやるなら、楽しんで。
ここまで、読んで頂いてありがとうございました。
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