自然に頭が良くなる方法~本を読むだけでは不十分~

こんにちは、文LABOの松村瞳です。

「本好きにするためには、どうすればいいですか?」
「どんな本を選ばせたら良いですか?」
「ちっとも本を読まないから心配で」

という相談を御両親から良くいただきます。

私は文章を教えていますし、まったく本を読まなかった生徒が本好きになった経験を数多く持っているのですが、「本好き」=「頭が良くなる」という風に誤解されているなぁ、とたまに思うのです。

確かに、本を読むことは大事ですし、本好きに頭のいい子が多いのも、事実です。

けれど、だからと言って、「本好きにすれば頭が良くなるんだ!!」というのは、実は繋がっていません。

むしろ、本を読んでいるんだけど、全然成績が上がらない。やってはいるけど、頭が良くなった実感が無い、ということは多々あります。

無理矢理本好きにしようと思って本を与えても、実は拒絶反応の方が強くて、逆に大っ嫌いになることも少なくないぐらいです。

じゃあ、どうすれば自分で進んで本を読んでくれるのか。

そして、どうやったら頭が自然に良くなるのか。

それは勉強の基本、と言うよりも、脳の使い方にヒントが隠れています。

本だけ読んでても、考える力や調べる力はつかない

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【記憶は使うことによって強化される】

勉強は記憶だ! 暗記だ!! という方がいますが、否定はしません。確かに、一定以上の知識の蓄積は大事です。

漢字を覚えてない。語句を知らない子に、じゃあどうやって文章を書かせるのかと言ったら、少しずつ覚えてもらうことがどうしても必要になっていきます。

けれど、小学生から高校生。果ては大学生や社会人まで文章を教えていて思うのは、「テストの為」に覚えた知識、というのは、抜けていくのが早いということです。

むしろ、テストにまったく関係ない分野まで、興味関心で調べていたり、そこまでは必要が無いのに、余計な知識を知りたがる子の方が成績が良かったりします。

これは、先天的な頭の良さもあるのかもしれませんが、それでも急激に伸びるタイプの子は知識欲や好奇心が豊富です。そして、そういった子は得てして、男女問わず非常におしゃべりです。

知ったことや、勉強したことを人と話す。自分が調べたこと。知ったことを、友達と話したり、先生や両親、家族に話す。

たったこれだけのことなのですが、それだけで記憶は強化されます。私たちの前頭葉という記憶をつかさどる脳の箇所は、使えば使うほどその知識を入れた場所を覚え、そこに繋がる神経回路を育ててくれます。

入れた知識を、何度も使う。使うためには、出さなければいけません。そして、この知識を出すのに、人に伝える。喋ったり説明したり文章に書いたり。

伝達という行動を通して、記憶は更に強化され、使える状態となっていくのです。

逆に「1回覚えたからもう大丈夫!」となるとどうなるのか……もう解りますよね?

そう。どこに入れたかを神経回路でつないでいないので、使えない知識として、忘れていくのです。

【勉強の基本は好奇心】

現在のように資格試験や受験制度が確立されるのは、日本では近代になってからですが、それ以前の勉強は娯楽の色合いがとても強いものでした。

もしくは、封建政治を行っていたが故に、人を統治するために身につけなければならない教養として、必須のものでした。

けれど、多くの人が学問に惹かれたのは、「知らないことを知るようになりたい」という好奇心です。

現代のように頭が良いから。偏差値が良いからいい大学に行ける。良い企業に就職できる、ということが確立されていなかった時代から、人は学ぶことを続けてきました。

それは、「知りたい」という欲求があったから。

好奇心は、私たちの誰もが持っている根源的な欲求です。ならば、頭が良くなるためには、私たちが持っている何を刺激すれば良いのか。その方法が見えてきます。

【好奇心は調べることによって強くなる】

子どもは好奇心の塊です。大抵、口ぐせは「それ、何?」ですよね?

この言葉にうんざりしている方も多いのではと思うのですが、逆にそうやって質問してきた時ほど、チャンスです。

「あー、解らないや。調べてくれるかな?」と、頼んでみてください。

意外に思うかもしれないのですが、「知らない」と答えても、別段子どもは不思議には思いません。知っている知識であったとしても、わざと知らないふりをしてみてください。

そうして、調べる手段だけ教えてください。

辞書で調べる。地図を使う。ネットで調べても構いません。とにかく、『調べるという行動を通して、知識が手に入る』という経験をさせてほしいのです。

大抵、解ってそれで終わり、という事にはなりません。

そして、ポイントは「調べた自分だけがその場でこれを知っていて、他の人は知らない」という状況を作り出しておくこと、なんです。

【人間は他者の役に立ちたい生きもの】

先ほどお話しした通り、人の記憶と言うのは誰かに伝えることによって、強化されます。

そして、誰かに伝えるという行為は、「教える」「説明する」という行為と同義語です。

知識は人に伝える、教える、説明することによって、整理されていきます。整理しなければ、説明など出来ないからです。

そして、何度も知識を反復し、脳に刷り込み、知識の使い方を覚える。ついでに調べ方も、身につける。

そして、一番最後がとても大事です。

それを上手く説明出来たり、解りやすく話すことが出来たならば、必ず子どもに対し、「ありがとう」と伝えてください。

解らない事を教えてくれて、ありがとう。

あなたが調べてくれて、助かったと。

それだけで、俄然子どもはやる気になります。知らない事を、調べようという気になりますし、自分が調べることで誰かを助ける事になると思ったら、率先してやり始めます。

それがやがて習慣となり、知らない事にぶち当たった時、自然と調べ、身に付けたことを話題として取り出せるようになる。

本で読んだ知識も、使えなければただの無意味な積み上げです。それよりも、覚えようとせずに自然に積み上げられた知識の方が、よほど緊張状態になったとしても助けてくれます。

調べた知識が誰かを助ける術となる。

それを子どもに実感させ、感謝を伝えると勝手にやりだします。それこそ、言わなくとも自然に、当たり前のように。

なので、知っている事であったとしても、少しとぼけて「あー、それなんだったっけ? 忘れたわ」と言って、一緒に調べたり、調べさせて後で説明を聞いてあげてみてください。

役に立つって感覚は、本当に子どもにとてつもない力を与えてくれます。

【まとめ】

・勉強の根源は好奇心。
・好奇心を刺激するには、調べる力を持つこと。
・脳は知識を使うと覚えやすくなる。
・記憶は、説明したり文章で書いたりすると強化される。
・子どもが調べたことに感謝を。
・それが子どものやる気に火を付ける。

子どもは面白いことを延々と続けます。大人だってそうです。面白いことは、ずっと続けていたい。好きなことなら、どれだけだって続けられる。その為なら、嫌な事も我慢出来る。

だからこそ、調べること。知識を得ることを「楽しい」と思わせる事。

その為には、その行為そのものが快感であると知る必要があります。

是非、その楽しさを。「ありがとう」と言われる心地よさを、貴方の身近にいる子どもたちに伝えてください。

そして、これは受験生にも効きます。

自分の得た知識を。覚えたことを、ひたすらに友達に説明してください。どうしてそうなったのか。どうやったら上手くいったのか。どういう経緯でそうなったのか。

それを説明しあう。教え合う。

その行為そのものが、貴方の脳を発達させてくれます。コミュ障の人は、紙に書く。ノートにまとめるでもいい。

覚えた知識を説明する。覚えた単語、語句ならば、それを使って作文を書く。使う。

それをすることによって、脳は強化されていきます。

自分の能力、最大限まで伸ばしてください。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

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