漢文解説 「狐虎の威を借る」 今回は、定期テスト問題です。
簡単な故事成語ですが、ポイントは句形。
【「不」の位置によって変わる意味】
-敢不~乎 あへて~せざらんや(反語)-
敢不~~~乎(反語)
これは、反語の句形で、「敢へて~~~せざらんや」と読みます。
そして、意味は、「どうして~~しないことがあろうか。いや、きっと~~する」
「狐虎の威を借る」で使われている部分は、狐の最後の説明の部分です。
「敢不走乎」=「敢へて走らざらんやと」と書き下し、「どうして私(狐)の姿を見て、百獣が逃げないことがあろうか。いや、きっと逃げる。」という訳になります。
これだけなら良いんですが、漢字の「不」の位置が変わると、途端に意味が変わってしまうんですね。この句形。
-不敢~~ 敢へて~~せず(否定)-
不敢~~~(否定)
上と比べると分かりますよね。「不」の位置が違う。
これは、「敢へて~~せず」と読み下し、意味は「無理に~~~しようとはしない。」という否定形になります。
例示は、
「秦不敢動」=「秦敢へて動かず」=「秦は無理して動こう(軍を挙兵すること)とはしなかった。
となってしまいます。
-反語形と否定形-
この「不」の位置で意味が変わる句形は本当に多くあります。
部分否定と全否定もそうなのですが、話の中で覚えてしまうのが一番です。何度も確認をすることで、段々と知識を自分に定着させるように勉強してください。
音読するたびに、句形を確認するのが一番です。
そして、試験前の音読で大事なことは、常に頭の中で意味を回すこと。ただ、読むだけではなく、常に訳文を頭の中で出来るかどうか。
詰まったら、すぐノートで確認をする。すらすらと訳せるようになるまで、それを繰り返し、最後の確認くらいで書いて確かめる、ぐらいがちょうどいいです。
とにかく、読んで、同時に頭の中で意味を常に確認すること。
出てこなくなったら、すぐさま確認をする。
それを繰り返すだけで、漢文はぐっと点数が伸びていきます。
では、問題に行ってみましょう。
問題の前に、解説で復習する人はこちら⇒漢文解説「狐虎の威を借る」
【問題】
虎求百獣而食(ⅰ)之、得狐。狐(a)曰「①子無敢食我也。②天帝使我長百獣。今、子食我、是逆天帝命也。子以我為不信吾為子先行。子随我後観。百獣之見我、而③敢不走乎。」虎④以為然。故(b)遂(c)与(ⅱ)之行。獣見(ⅲ)之皆走。虎不知獣畏己而走也。以為畏狐也。
-問1-
(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)の「之」はそれぞれ何を指すのか、文中の言葉で答えなさい。
-問2-
(a)「曰」(b)「遂」(c)「与」の読みを送り仮名も含めて、歴史的仮名遣いで書きなさい。
-問3-
①「子無敢食我也。」と③「敢不走乎。」を現代語に訳しなさい。
-問4-
②「天帝使我長百獣。」が、以下の現代語訳になるように、返り点をつけなさい。
現代語訳「天帝は私を多くの獣の頭にさせた。」
-問5-
④「以為然。」を全てひらがなで書き下しなさい。
-問6-
本文の故事を読んで、虎が狐を食べなかった理由を50字以内で説明しなさい。
※ヒント
記述に入れなければならないポイントは2つ。
・虎が知っていなかったこと。無自覚だったことを理由のひとつめとして書く。(本文中に書いてあります)
・狐の言い分の中に、「子以我為不信」とあります。なら、虎は結果的に狐の何を、「不信」したのか。それとも、「信」したのか、を考える。
記述のポイントは、必ず主語と述語、目的語をしっかりと意識して書くこと。これがあやふやだと、綺麗な文になりません。
解答はまた明日。
ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。
解答はこちら⇒漢文解説「狐虎の威を借る」 定期テスト対策問題・解答
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