漢文解説 朝三暮四


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漢文解説 今回は、中国故事から「朝三暮四」

中国故事は、動物の話をたとえとして使って、現実の世の中での何かを批判するために書かれているものが殆どです。(孔子の教えを守る、儒家の考えを批判した、矛盾)

定期テスト対策問題はこちら⇒漢文解説 朝三暮四 定期テスト対策問題

知恵を働かせて。働かせすぎて国を統治をする そのこと自体を批判する喩え話。

【本文1文目】

 

-白文-

宋有狙公者。

-書き下し文-

宋に狙公なる者有り。

 

-日本語訳-

宋に猿をたくさん飼う者が居た。

-解説-

狙=猿のこと。

 

狙公とは、猿をたくさん飼う人のことです。

別訳で、猿回しの人が居た、という訳し方も有ります。

 

【本文2文目】

-白文-

愛狙、養之成群。

-書き下し文-

狙を愛し、之を養ひて群を成す。

-日本語訳-

彼は猿をとても愛し、猿を養って、その数は群れを成すようになった。

-解説-

一人は、単独。
二人は、番。(つがい)
三人以上が、群れ。

なので、お猿さんを三匹以上飼っていた、ということになります。

 

【本文3文目】

-白文-

能解狙之意、狙亦得公之心。

-書き下し文-

能く狙の意を解し、狙もまた公の心を得たり。

-日本語訳-

彼は猿の気持ちを良く理解し、猿もまた、狙公の心を掴んでいた。

-解説-

仲が良かった、という表現ですが、ポイントは猿を飼っている狙公が猿の考えている事や気持ちを良く理解していたと言うこと。

そして、猿は狙公の愛情は掴んでいたけれども、彼の意を解していた、とは書いていないのがポイントです。

【本文4文目】

-白文-

損其家口、充狙之欲。

-書き下し文-

其の家口を損じて、狙の欲を充たせり。

-日本語訳-

彼は、自分の家族が食べる食物を減らしてでも、猿の食欲を満たしていた。

-解説-

この男にとって、猿>家族だった、という悲しい事実。




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それぐらい猿を愛していたとも言えますが………

 

【本文5文目】

-白文-

-書き下し文-

俄にして匱(とぼ)し。

-日本語訳-

しかし急に食糧が乏しくなった。

-解説-

はい……猿が大好きで、沢山飼っていて、経済的に破綻をしてしまった。とれだけ飼っていたのかなって、ちょっと考えてしまいますよね。

【本文6文目】

-白文-

限其食。

-書き下し文-

将にその食を限らんと

-日本語訳-

そこで、猿の食事を制限しようとした。

-解説-

愛している猿の食事を限定しようとしたのは、本当に最終手段だったんでしょうね。

句形のポイントは、再読文字。

将に~~(ン)とす。

と読んで、「(ちょうど)~しようとする。」「~するつもりだ。」の意。

一番覚えやすい再読でもあるので、何度も読んで覚えてしまいましょう。

【本文7文目】

-白文-

恐衆狙之不馴於己也、先誑之曰、「与若芧、朝三而暮四。足。」

-書き下し文-

衆狙の己に馴れざるを恐るるや、先ず之を誑(あざむ)きて曰はく、「若(なんぢ)に芧を与ふるに、朝(あした)に三にして暮れに四にせん。足ると。」

-日本語訳-

餌を減らすことで、猿たちが自分になつかなくなるのではないかと恐れていたが、初めて猿たちを騙して言ったことには、「お前たちに芧の実を餌として与えようと思うのだが、朝に3つ。夕暮れに4つ与えようと思っている。それで足りるか?」と言った。

-解説-

句形は、「乎」の一字。

これを文末におくことで、疑問の意味合いになります。疑問文ですね。

そして、生活が苦しくなって、狙公は初めて猿たちを騙そうとします。

これが、猿たちの考えることをよく理解していたから、出来たことなんですね。逆は無理です。猿は狙公の考えている事を理解してはいません。

【本文8文目】

-白文-

衆狙皆起而怒。

-書き下し文-

衆狙皆起ちて怒る。

-日本語訳-

猿たちは、皆起ちあがって怒った。

-解説-

句形は「而」の置き字をチェック。

単体の漢字の読み方は、「ジ」意味は、順接と逆説の接続詞。

接続詞として読む場合は、

順接は「しこうして」
逆説は「しかれども」

と読みます。

朝に3つ、夜に4つだったら、お猿さんたちは怒った。

ここで猿たちを怒らせる事も、計算の内です。

【本文9文目】

-白文-

俄而曰、「与若芧、朝四而暮三。足乎。」

-書き下し文-

俄かにして曰はく、「若に芧を与ふるに、朝に四にして暮れに三にせん。足るか。」と。

-日本語訳-

そして、彼が急に慌てた様子で言うことには、「お前たちに芧の実を与えるのに、朝に4つ、夕暮れに3つにしようと思う。足りるか?」と猿たちに言った。

-解説-

一度酷い提案をしてみて、猿たちを怒らせる。その後、猿たちの要求を聞いたような様子で、違う提案をする。

一日7個、という全体数は変わっていないのですが、朝だけみると、3つから4つに変わっている。

そこがポイントです。

【本文10文目】

-白文-

衆狙皆伏而喜。

-書き下し文-

衆狙皆伏して喜ぶ。

-日本語訳-

猿たちはみな、ひれ伏して満足し、喜んだ。

-解説-

猿たちは論理的に考えることは出来ない。

目先の、朝の餌の量が、3つから4つに変わっていれば、絶対に喜ぶはずだと、最初から朝に4つ、とは言はず、数を少なくして言いました。

猿たちが怒ることは、想定の範囲中。

そして、興奮させた後で、あくまでも猿たちの言い分を聞いたと信じ込ませて、結果的に一日の量は変えずに餌の交渉をしたのです。

【朝三暮四の四文字熟語の意味】

この逸話から、

「本質的には何も変わっていないのに、言葉巧みに相手を騙すこと。誤魔化すこと」

これは、狙公の立場に立っている意味。騙すほうの意味合いです。

逆に、

「目先の利益に目がくらんで、結果が同じであることに気がつけないこと」

こちらは、猿側の意味。

騙す側と、騙される側の、両方の意味合いが組み込まれています。

つまり、賢いものが愚かなものを騙す時がある、ということ。

愚かな者は騙されていることにすら気がつかない。そんな人の聖人の政治だと誉めたたえるのはおかしい、と言っているのです。

ちなみに、「朝令暮改」=「朝出した命令を、夕暮れに変えてしまう」とは、意味が違うので、混同しないように。テストでよく、狙われます。

 

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。

 

 


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