こんにちは、文LABOの松村瞳です。
今日は言葉の魔力。
試験も終わり、夏休みが近付いてくると、どうしても子供たちに言いたくなる台詞があります。特に遊んでいる子供には、言いたくなる言葉というものがあります。
「宿題は?」
「勉強しなさいっ!!」
「あんた……そんな状態で大丈夫なの?」
忠告やアドバイス。特に寝っ転がってゲームばかりしている子供や受験生には、一言どうしても言いたくなるお父さんやお母さんもいらっしゃることでしょう。
でも、それ。
子供のやる気ばかりか、才能まで潰しているかもしれません。
【言葉は自分のモノでは無く、受け取る相手のモノ】
以前、使う言葉があなたの人生を決めていく その1でも書きましたが、言葉というのは、本当に使い方を間違えると途端に誤解を招いてしまうし、喧嘩の種になってしまう厄介なものです。だからこそ、言葉の使い方と、本質的なコミュニケーションの意味を理解する必要があります。
言葉は、伝達の道具です。そして、ここで多くの方が間違うのですが、言葉は自分の意志を伝えるものですが、同時にその言葉を受け取る相手の意識次第でどのようにも受け取り方が変化するものでもあります。
「ありがとう」という単純な感謝の言葉も、受け取る相手次第では『嫌味』に取られてしまう事もありますし、「ごめんなさい」という謝罪の言葉ですら、受け取る側の心理によって、『敵意』と取られる事も有るのです。
言葉によるコミュニケーションは、相手がその言葉をどう受け取るのかを先回りして考える必要があります。
【何故、命令系だとやる気を無くすのか】
では、少し分析をしてみましょう。
命令系の言葉を受け取る人間が、どう言う心理になってしまうのか。そして、命令の内容がどれだけ正論で有ったとしても(寧ろ正論で有ればある程)、それに従おうという気持ちになれない原因も、合わせてみていきます。
命令系と言う言葉は、元々それをしていない状況の人に、強制的にさせるために使われる言葉です。つまり、一生懸命やっている人間には、命令系は使わないのですね。
「勉強しなさい」⇒「勉強をしていないってことか……? してるつもりなんだけど……(不安)」
「勉強はやったのか? 宿題は?」⇒「(していた場合)やったのにっ……なんだよ、やってない様に見えるのかよ(怒)」「(していない場合)今やろうと思ってたところだったのにっ……なんだよ、偉そうにっ(怒)」
「テストの点数が下がったんだから、もっとやれ!!」⇒「やってるよっ! やってるけど、点数上がらないから苦しんでるのに、何だよ、その言い草(怒)」
「こんな状態で、大丈夫なの?」⇒「大丈夫かどうかは、俺が訊きたいよっ!! 不安なのは俺なんだよっ!!(不安)」
もし、何時もの様に言葉がけをして、このように子供に受け取られたらどうでしょう? 仮に勉強を仕事に置き換えて、身近な人に言われたと仮定してみてください。この言葉を言われたから、良い気分になり、やる気満々で仕事に自分が向かえるかどうか。
人の立場に立って考える、というのは本当に難しい事なのです。自分はやっているつもりでも、実際それらの言葉で子供がどんな反応を示したのか。言ったら言ったっきりですっきりするのではなく、その後の反応や表情。相手の実際の行動を、じっくり見てみてください。
良かれと思って言った言葉が、逆に相手を追い詰めているなんて事は、良くあることです。
しょぼん、としょげかえっているのなら、更に勉強をしなくなります。何故ならば、今の自分を否定された様な気がして、自分は駄目な人間なのだと強烈に自己嫌悪に走ってしまうからです。
そんな、たった一言で大げさなっ……と思われるかもしれません。けれど、言葉は諸刃の剣です。頼もしい、自分を守ってくれる武器にもなれば、逆に自分を傷付けてしまう可能性もある。
たった一言で救われることも有れば、たった一言で奈落の底に突き落とされる事もあるのだという事を、どうか知ってください。
【日本と欧米の言葉のかけ方の違い】
トムという、ある小学生の男の子が居ました。ある日、トムのお母さんは彼が通っている小学校の校長先生から手紙を貰います。その手紙の封を開けてみると、こう書かれていました。
「あなたの御子息は大変な不出来で、本校の学力レベルに到底付いてこられる状態ではありません。なので、退学を言い渡します」
これを読んだお母さんは絶句しました。トムは彼女のスカートをひっぱりながら、「どうしたの?」と訊いてきます。
咄嗟に、彼女はこう言いました。
「校長先生からのお手紙よ。トム。貴方はとても優秀だから、明日から小学校に通う必要が無いんですって」
「えっ? ほんと?」
「そう。だから、明日からはお母さんと一緒に勉強しましようね」
「うんっ!!」
このエピソード。ある偉人の子供の頃の一コマです。誰だと思いますか?
そう。発明王、トーマス・エジソンの幼少期のエピソード。彼は小学校を退学させられていたのです。
母親の、優しい嘘だと言い切ることも出来ます。けれど、このお母さんは子供り才能を信じ、何よりも彼が勉強を好きになる様に、この後も苦心し、一切彼を否定する様な言葉はかけなかったと言われています。子供の未来の可能性を信じ、信頼する。エジソンの母の行動から、多くのことが私達は学べると思います。
もし、この校長先生からの手紙を彼女がそのまま彼に伝え、「お前は馬鹿だからっ!!」と、その時点の真実であったとしても、彼を責め続けていたのならば、後の発明王は生まれたでしょうか?
「大丈夫なの?」「大丈夫なのか?」と確認の様に声をかけることは、子供の素質を疑っている言葉です。
逆に
「大丈夫!! 今出来なくても、出来るようになればいいだけだから」「大丈夫じゃないか? だってお前はもっと出来る筈だ」と声をかけることは、子供の可能性に信頼を示している言葉です。
あなたは、どちらの言葉をかけて貰った方が嬉しいですか?
【まとめ】
「大丈夫なのか?」「勉強しろ!!」等の確認や命令系の言葉をかけるのではなく、「大丈夫!!」などの安心感を与える言葉や、「勉強しているんだな。頑張れよ」と、信頼を示す言葉に変えていく。
たったそれだけのことですが、言葉の魔力を実感して頂けると思います。
思わず口から出てしまいそうになった瞬間。思い出していただけたら、嬉しいです。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
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