こんにちは、文LABO 松村瞳です。
今日は文章テクニック3回目。対比のお話です。
【対比は何故必要なのか】
比較する、比べる、というのは物事を的確に伝える為には、とっても必要なことです。けれど、この対比。なんとなーく解っているだけで、長文になった場合、書き方の基本も接続詞も覚えている人は少ないです。
そして、不思議なのですが自分が読む立場なら、あっさりと理解するのですが、いざ書く立場になると対比を入れる事は出来ない。恐らく、対比のルールが意識の中に入っていないのでしょう。
自分の言いたいことに意識が集中してしまうのと、自分の思考の中では整合性が取れているので、説明は要らない、と思ってしまうのでしょうね。
実践すればこれだけ違う! 好印象をもたらす文を書く、たった1つの方法 でも書きましたが、文章を書くコツはたった一つ。相手の事を思いやることです。自分の為では無く、相手の為に書く。だからこそ、解りやすい、イメージをしやすい対比を文章の中に入れることは、必要なこと。
なら、対比ってどうやって入れるのか。
あなたは、解りますか?
-対比を導く接続詞-
「また接続詞かよ……」
って声が聞こえてきそうですが、逆に言えば接続詞を使いこなせば、それだけで文章能力UPです。ひとつの事でも集中して突き詰めていけば、岩をも穿つ。
解ってしまえば、簡単です。
対比の構造
大きい
合格
不安
尊敬
小さい
不合格
安心
侮蔑
それに対して / 一方
しかし / でも
~ではなく、むしろ~だ
東洋
現在
和食
文化部
西洋
過去・未来
中華・洋食・多国籍
運動部
対比を導く接続詞は、「それに対して」「一方」等が一般的ですが、その他にも沢山あります。良く出てくるものとして混同しがちなのは、「しかし」「でも」などの接続詞。これらは逆説の接続詞で使われる事もあるので、要注意です。そして、接続詞というよりは、助詞を使ったものなのですが、「~では無く」という言葉で前半を否定し、「むしろ」という接続詞を使って、逆を述べる形。評論文などで筆者の主張を前面に出す時などに使われています。
そして、此処で面白いのが、対比は正反対の真逆を言うものだけではないと言う事。
-対比は真逆とペアの二つがある-
対比、というとついうっかり正反対のものばかり考えてしまいがちですが、文章を書くことにおいて、真逆の事を書き表す方が実際は少ないものです。多いのは、二者の比較。
たとえば高校受験ならば……
A高とB高、どっちにしようかな。どっちも進学校だけど、A高は校則厳しそうだしなぁ……B高は部活も盛んで楽しそうだし、良いんだけど人気で倍率高いし、それに最近成績落ちてるって噂だし……大学進学の事を考えたらA高の方が良いのかな。でも、遠いしなぁ……
こんな感じでみんな考えますよね。
この時のA高とB高って真逆でしょうか?
世の中にはこのペアで比べる、という事がとても溢れています。
シーに行くのか、ランドに行くのか。
洋画を観るのか、邦画を観るのか。
徒歩で行くのか、バスで行くのか。
数学を勉強するのか、国語を勉強するのか。
医学に進学するのか、法学に進学するのか。
ランチをカレーにするのか、ハンバーグにするのか。
マックに行くのか、モスにするのかetcetc…
ここでポイントになるのは、自分が選びたいものは後半に配置する事です。
-重要なことは後半に-
たったこれだけ? あなたの文を劇的に上手くする方法 その2 で、結論を冒頭に述べる、という事をお話ししましたが、自分の意見の説得力を増させるために対比を使うのならば、必要なのは書く順番です。
国語の試験の解答を考える時、殆どの人は文章の後半を重点的に読むクセが付いていると思いますが、日本語は述語が中心の言語です。大事なことは後半に置く性質がある。なので、対比する時も自分が進めたい物をまず決め、それとペアになるものを選び、それぞれの長所と短所を探し出し、整理して書く。
この情報を整理する。メモ書きをする、という事を殆どの人が行いません。
【対比は文章だけでなく、選択をする時にも便利】
選択できない時。殆どの人は情報不足。そして、情報の整理不足が頭の中で起こっています。
整理をする時は、必ずペンと紙を使って書きだすこと。頭の中で考えているだけでは何にもなりません。余計混乱するだけです。書きだす、という事は私たちが認識している以上に精神を安定させ、冷静に物事を観る視点を私たちにもたらしてくれます。
文章を書く上で、何よりも大事なのは情報収集です。どんな紙でも構いません。どちらを選ぶか迷った時、二つの選択肢のメリットとデメリットを思い付く限り書き出してください。どんな言葉でも構いません。どんな意見でも大丈夫。書いては駄目なこと、というのはメモ書きの時には存在しません。むしろ、そこでブレーキをかける事が、あなたが書けない原因かもしれません。
思考を先ず形にする。情報を整理するのに、対比はとても重要です。文章にするのは、その後です。
【実際に対比を練習してみよう】
さて、実践です。
対比は、短い言葉からやってみるのが一番。感覚が解ってくると、色んな物が足せるように成ります。
今日は雨だ。それに対して、明日は晴れらしい。
今日は雨だ。一方、明日は晴れらしい。
今日は雨だ。しかし、明日は晴れらしい。
今日は雨だ。でも、明日は晴れらしい。
今日は晴れではなかったが、明日は晴れらしい。
これらは全て対比の接続詞を使った文です。同じ接続詞でも、微妙に雰囲気が変わるのが面白いですよね
「それに対して」「一方」という接続詞は、淡々と事実を述べているだけに受け取れますが、「しかし」「でも」「~ではなく」のものは、明日が晴れだと、少し喜んでいるようにも感じられます。
先ほどの高校選択の例で言うのならば、B高を自分が選ぶとして、
A高は伝統校で大学進学率は高いレベルを誇っているが、校則は厳しく部活動も盛んではない。それに対し、B高は同じ進学校で大学進学率はA高程ではないが、自由な校風は人気で部活動も盛んである。
対比をする時に守らなければならないルールは、比べる順番です。
大学進学率を最初に比べ、次に校則、そして部活動の活発さ。
その順番をきちんと守る。自分勝手に順番を入れ替えない。ルールはそれだけです。
だからこそ、情報の整理が対比には必要です。
面倒だと思いがちですが、面倒なところや細かいところに神は宿ると言います。ほんの少し気を付ける。それを続けていけば、呼吸をするのと同じように文章が書けるようになります。
今日、自分の文章に、簡単な対比を入れてみましょう。
何事も練習です。試しにやってみる。それが上達する人の特徴です。取り敢えずやってみる。やってみた人が、一歩先に進めます。
是非、一歩前に進んでください。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
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