アイオワの玉葱 論理国語 テスト対策 記述編

アイオワの玉葱

筑摩書房の論理国語 長田弘著の「アイオワの玉葱」から、テスト対策問題です。

論理国語の最初に掲載されているこの評論文。最初のテスト課題に使用されることが多いでしょうが、抽象度の高い文章なのできちんと「理解」してから「解答」を書くように心がけてください。

この「抽象→具体」の書き換えは、記述テストで頻出する必須問題です。特に高校国語はこれができなければ、模試で点数が取れることは期待できません。

抽象度の高い文章を、いかにわかりやすく。伝えやすい形に落とし込んで解答を作るか。

ここをクリアできると、論理国語の問題はグッと点数がとりやすくなります。

では、問題を見ていきましょう。

それぞれ、解説、ヒント、解答をつけてあります。解説を読んでもわからなかったら、ヒントを読み、自力で解答の文章を書いてみてから、解答を読んでください。

 

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問題

 

問1 

次のひらがなを漢字で書け。(本文中の表記で書きなさい)

 

(1) とつぜん (2) ゆううつ (3) しょうがい (4) ふうぞく (5) がいねん 

(6) すきま (7) さける (8) こうがい (9) せんぎょ (10) せいけつ 

(11) おもむき (12) さいばい (13) 辞書をくる (14) びみょう (15) とくちょう

(16) ささい (17) ひゆ (18) かんよ (19) ひっきょう (20) じめい

解説

読みでも出される問題も、敢えて書く問題で出しました。一度書けるようになっておくと忘れる可能性も低くなります。手を動かして、きちんと一度書くこと。そして漢字を覚えるコツは毎日繰り返すことです。テスト期間、毎日一回、チェックするような気持ちで繰り返してください。一夜漬けはあまり効果がありません。

 

(1) 突然 (2) 憂鬱 (3) 障害 (4) 風俗 (5) 概念 (6) 隙間 (7) 避ける (8) 郊外 (9) 鮮魚 (10) 清潔 (11) 趣 (12) 栽培 (13) 辞書を繰る (14) 微妙 (15) 特徴 (16) 些細 (17) 比喩 (18) 関与 (19) 畢竟 (20) 自明

 

問2 

第1段落「この言葉の困難は二重に憂鬱なものだった」とあるが、「二重」の意味を明確にして、筆者がアイオワでの生活で感じた言葉の困難さを説明しなさい。

解説

「二重」とは、二つ重なった状態のことです。なので、1つ目の困難。2つ目の困難があるということ。大概こういう時は、1つ目の困難は想定できることです。誰もが想像できるもので、それに対する準備も覚悟もできているけれど、実際やってみたら思いもよらない困難が上に重なるように襲ってきて、「こんなのは考えてなかったよ」と辛くなってしまう。そんな筆者の状況を本文から抜き出し、並べれば解答としてOKです。

1つ目……アイオワで英語を使って生活しなければならない困難
2つ目……英語が世界の共通語だと純粋に信じているアメリカ人を相手に生活しなければならない困難。
P13.l12~ アイオワで生活し、友人たちと話すたびに言葉の概念のずれを感じてしまうことが書いてある。筆者が感じている困難はこれ。しかも、世界の共通語の自負がアメリカ人にはあるので、相手は譲らない。自分の感覚が常に間違っているのかと、常に考えながら会話するのは、非常にストレスだったということ。

 

これらを入れ込んで、解答としてまとめてみましょう。

当初は生活に必要な言語を覚えるのに必死だったが、それを乗り越えた先に見えてきた困難であり、私たちのもっている言葉の概念やイメージやニュアンスが、それぞれの母語によって形成されたものであるからこそ、異国の友人たちとの会話で理解やイメージのずれを感じてしまう困難。

 

問3 

第2段落「しんに厄介な困難」とあるが、これはどのようなことを指し示しているか。説明しなさい。

解説

「しんに」とわざわざ書いてあることがポイント。

ということは、表面上の困難は別にあり、そちらを乗り越えようと必死になって頑張っていたら、それを乗り越えた先に、それ以上に困難な、とてもめんどくさい問題が見えてくるようになった、という形が解答のテンプレート。この時の、最初の困難。そして、乗り越えた先にあった困難をそれぞれ解答で明確に書くことが求められます。

 

最初の困難……生活で英語を使い、利用し、覚えなければならない困難。
先に見えてきた困難……異国の友達との会話でずれを感じてしまう困難。その原点が、母語による言葉の概念の違いから生じるものだから、なかなかこの違和感が拭えずに、会話をするたびにずれを感じて仕方がないことを指し示している。

この2点をしっかりと認識して、解答の文章を構築すること。

当初は生活に必要な言語を覚えるのに必死だったが、それを乗り越えた先に見えてきた困難であり、私たちの持っている言葉の概念やイメージやニュアンスが、それぞれの母語によって形成されたものであるからこそ、異国の友人たちとの会話で理解やイメージのずれを感じてしまう困難。

 

問4

第10段落「わたしはおもわずかんがえこんでしまった」のは何故か。その理由を説明せよ。

解説

線部の直前を読む。
「当たり前の違いをしっかりと引きすえて(捕まえて)きているかと自問してみて」とあるので、自分で自分に問いかけて、その答えがはっきりしないからこそ考えこんでしまった、と筆者の行動の推移が書いてある。問題は、「考え込んだのは、なぜか」と問われているので、筆者が考え込んだ原因。つまり、「自問」の内容に対して、私たちはきちんと自覚しているか。気がついているのか、と自分以外の人々のことに思いを馳せているのである。だから答えが出ない。自分ですら今気がついたのだから、みんなはこれにちゃんと気がついて言葉を使っているのだろうかと、考え込んだ。

これらを解答に入れる意識を持ってください。

自問した内容……日本語を母語とした言葉の概念は、日本人の筆者とは違ってアメリカ人には絶対的な概念であるはずがないこと。逆に、アメリカ人の英語を基とした言葉の概念は、日本人の筆者にとって絶対的な概念であるはずがない、という母語が違えば生じる、当たり前の違い。これを、きちんと私たちはお互いにしっかりと認識して話しているのだろうかと、筆者は考え込んだのである。
異国の小さな町で英語に囲まれながら生活すると、日本語を母語とした筆者の言葉の概念は他の誰にとっても絶対的な概念であるはずがなく、逆に誰かの言葉は筆者にとって絶対の概念を与えるわけではない事実に、改めて気付かされたから。
内容

問5

第12段落「言葉は、他者への想像力によって、言葉なのだ」とは、どのようなことか。説明せよ。

解説

この表論文の要旨に関わる部分。

言葉は、話す人間が伝えたい相手(他者)に対して想像力を働かせて使うからこそ、言葉になりうるし、そういう力を本質的に持っている、とまとめればいい。

 

そういう力=言葉を使う、話す、というのは、何かを伝えたいからこそ。だから、相手に伝わらなければ意味がないので、話す相手に伝わりやすいように言葉を選んだり、こう言えば通じるだろうかと表現方法を考え、選別を私たちは無意識にしている。そういう努力を無意識にさせる力(=相手のことを考える力=想像力)を、言葉は本質的に持っている。
互いの限界やずれ、異なった言語の隙間を通して、どのような言葉を使って説明すれば相手に伝わるだろうかと想像力を発揮しながら他者をまっすぐに認めることこそが、言葉の持つ本質的な力なのだということ。

テスト対策に活用してください。

必ず、答えを自分で書いてから、解答を開けてください。最初から見てしまったら、勉強にはなりません。

もう一度書きます。読んでわかったつもりになっている人は、絶対にテストで解答文が書けるようにはなりません。ちゃんと一度、自分の頭で考えて、拙くても不完全でも構わないので「書く」という行動を起こしてください。

テストではAIの助けは借りられません。頼りになるのは、自分の頭と、解答を書いた自分の手だけです。だから、練習できちんと動かしてください。その積み重ねが、実力になっていきます。

ぜひ、テスト勉強頑張ってください。

 

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

 

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