思考バイアス、解説その5 (その1 その2 その3 その4)
今回は、全体のまとめと定期テストの予想問題・解答です。
【まとめ】
-全体の構成-
人間の基本的な思考は、帰納的推論であると事実を述べる。(導入)
↓
そこに入る様々な偏りや間違い、偏向性を指摘。(問題提起+具体例)
↓
それは人間の本能に身につけられたもの。(問題提起の原因)
↓
乗り越えるために、私たちが取れる手段の説明。(結論)
というように、推移していきます。
-人間の思考には基本的に偏りがある-
人間の思考には、偏りがあります。
もともと、私たちは自分の思考を正確に把握することは、自分自身であったとしても中々不可能です。
何故ならば、それは目に見えず、客観的な視点が入らず、一瞬で色んなものを根拠無しに結び連れけてしまう傾向があるからです。
-偏りを発生させる3つの罠-
偏りを発生させてしまうバイアスは、次の3つ。
・最初から願望の入った選択肢しか考えない、確証バイアス
・印象深い、続けて起こった出来事をくっつけてしまう、関連性の錯誤
・精神的負担の少ない、肯定の意見ばかりを集めてしまう、肯定性のバイアス
です。
この3つは、誰にでも一瞬で起こってしまい、一旦思いこんでしまうと、それが正しい理由しか探さなくなる、という悲しい機能が私たちの脳には備わっています。
自分が考え出した事って、正しいと思いがちですよね。けれど、正しいと思っている事自体が、既に偏向がかかっているのかも知れない、と筆者は続けます。
-そもそも何故偏りがある思考法を身に付けたのか-
とても基本的なことですが、この偏りのある思考法は、進化に必要だから人間が身につけたものです。
むしろ、生きのびるためにとても有用で便利だったから、これを採用した。
けれど、それが現代では思考を歪めてしまう作用を持っているのだから、皮肉なものです。
-正しいもの・間違っているものがあることわざと迷信-
諺は、科学的に根拠がはっきりし、裏付けされているものと、全く検証がされていない、物によっては結果と原因が入れ替わっているようなものでさえ、存在します。
この違いは、客観的なデータがあるのかどうか、検証したかどうかということです。
-この偏りを乗り越えるための具体的な方法-
この検証という方法は、自分が考えた可能性の否定形を考えることです。
「もしかしたら、そうではないのかもしれない」という可能性を常に選択肢として持っていて、それを数値として表し、パーセンテージを取ってみる。
そうして、諺や迷信が当たっているのか、当たっていないのかを徹底的に確認してみる。
こうやって、誰にでも目に見える形の選択肢を用意し、それをあえて考え、調査して数値化することは、科学的な調査方法と言えます。
単なる言い伝えの諺でも、それが確かなのかどうか。本当に信じるに足る情報なのかどうかは、客観的な事実と照らし合わせてみないと解らないものです。
-科学的思考とは-
数学的な思考、というとややこしく感じるし、難しく感じる人もいると思いますが、実は単純です。
誰の目にも明らかな、数値で示す事。
選択肢を明確に書きだし、誰でも解るような形にし、そして数を集める。
本当に、その諺や迷信通りになるのか。ならない時は、どれぐらいなのか。それをサンプリングし、ある程度の期間の調査や、サンプル数を揃えない事には、客観的判断は、できない。
そうすることで、思考のゆがみを直す事が出来るし、自分が気付かなかった視点、というものも見えてくる。
思考バイアスに引っかからない考え方が出来るようになってくる、という結論です。
解ってしまえばそんなに難しい内容ではないので、最初のバイアスの説明を丁寧に読みとることをテスト前には行ってください。
あと、読んだ後に自分の力で再度ノートにまとめてみる。
ぜひやってみてください。
【定期テスト予想問題】
-その1-
問 諺と迷信の違いをそれぞれの特徴を述べた上で、解説しなさい。
諺=経験の積み重ねで生まれたもので、根拠のしっかりある正しいものと、正しくないものが存在する。
迷信=関係のない二つの出来事を無理矢理繋げて主張すること。
というように、本文の内容からこの二つの違いをしっかりと整理しておくと、解答が書きやすい。
なので、解答のテンプレートは、
「諺は、○○○というもの。もう一方の迷信は、△△△というものである」、という対比型になります。
ポイントは、迷信は人間が無理矢理関連付けてくっつけたことで生まれたものなので、迷信を生みだしているのは人間です。そして、全てが外れている。
諺は、経験則と観察から生まれたものです。なので、根拠がしっかりとあり、正しいものもあるけれど、全てがそう言うわけではない、というポイントをしっかりと押さえましょう。
模範解答。
諺は、経験則から得られた知識の結晶であり、正しいものも存在するが、中には原因と結果が取り違えられていたり、検証がしっかりと為されていないものも存在している。一方、迷信は、全く関連性がない二つの出来事を強引に結び連け、偶然の一致を過大評価し、本当のことらしく主張するもの。
ポイントは、諺が当たっているものもあるのは、何故なのか。そこをしっかりと書く必要があります。経験則から積み上げたものの場合は、諺は当たっている事が多い。けれど、全てではない。
対し、迷信は常に強引です。そして、根拠となるのは偶然という可能性を排除する傾向も強い。そのたった一度の偶然を、絶対だと思って結びつけてしまう。
似ているようで、違う部分をきちんと解答に入れましょう。
-その2-
問 「空想から科学へ」とはどういうことか。80字程度で説明せよ。
此れも簡単です。
空想、とは何か。
科学、とは何か、を説明出来ればいい。
空想は自分の考えにとらわれること。(バイアス)
科学とは、客観性のある資料をもとに、検証する行為のことです。
「空想から科学へ」という言葉なので、「○○○という考え方から、△△△という考え方に変化させること」という、基本の形が見えてきます。
なので、それが解れば後は言い換えをするだけです。
模範解答。
自分の考え方にとらわれると言う考え方から、様々なバイアスが掛かっている事を自覚した上で、仮説を検討し、様々なパターンの推論を挙げ、事象の関連性について客観的な観点で検証する考え方に変化させること。
と、なります。
定期テスト対策に、役立ててください。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
最初から読む⇒思考バイアス 解説その1
コメント