付き合ってはいけない人の特徴~巧言令色鮮なし仁

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こんにちは、文LABOの松村瞳です。

久方ぶりの漢文解説。

今回は、論語から付き合ってはいけない人の特徴を述べていきます。

初対面で最高に好印象……それって、一番危ないパターンです。

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【白文】

子曰、「巧言令色、鮮矣仁。」

【書き下し文】

子曰く、「巧言令色、鮮(すく)なし仁と。」

【現代語訳】

孔先生が言われた。

「口が上手くて表情を取りつくろう人は、仁徳に欠けているものだなぁ。」と。

【好印象の人間は、思いやりがない人間?】

この文章。

孔子らしく、短くスパっ、と一言のもとに言いきっていますが、かなり読解が必要になる文です。生徒からも、初読で「いまいち意味が良く分からない」といつも質問が出る文でもあります。

確かにそうですよね。

口が上手い人。つまり、言葉に長けていて、良く褒めてくれる人、という事になります。

更に、表情を取りつくろう、とありますが、この場合。いつもニコニコしている人、という意味です。要するに、作り笑いですね。けど、人と会っている時。通常ならば、大体人間は態度を取りつくろうものです。とくにそれが人間関係に影響してくる場所だったならば、緊張もしているだろうし、面接とかでは、緊張の極度である自分の気持ちを押し隠して、笑顔で対応することなど、幾度となくあるでしょう。

それがいけない事なのかな? 思いやりがない人間ってことなのかな?

なら、孔子は、口下手で、何時も感情のままに動く人間の方が思いやりの心。仁の心を持っているという事なの?

と、疑問に思ってしまいますよね。

口が上手い。語彙が豊富で、笑顔で沢山の言葉を操れるのならば、きっと周りには好印象を与えるはずです。人に良く思われたいというのは、人間の根幹に根差す欲望。むしろ当然の行動なのではないか。そう思いたくもなる。むしろ、進んでそうしなければならないのでは? と思ってしまう。

けれど、そうやって思う人の心を鋭く見抜き、警告を与えてくれる孔子の洞察力の高さは、さすがというより、他にありません。

【非常に魅力的な人間は、詐欺師の特徴】

にこにこと笑顔で、言葉巧みに近付いてくる人間。

普通に考えれば、これはとても良い人のように思えます。けれど、これとある犯罪者の特徴がぴったり重なるのです。

そう、詐欺師。

普通、人間関係というものは徐々に仲良くなっていくものです。最初からいきなり距離を詰めるのではなく、段々共に居る時間が長くなっていくもの。

その過程をふまず、褒めておだてて、笑顔で近付いてくる人間は、必ずその行動の後ろ側に狙いがあるものです。その最たる人間が、詐欺師。近付いてくるのは、騙す為の前の段階で信頼を得ようと画策するからです。

そう。ここで言う、巧言令色、とは、心からの温かみのあるものではなく、何かしらの目的があって近付いてくる人間、という意味です。

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【利で動く人間は、自分を大きく魅力的に見せようとする】

別段詐欺師まで行かずとも、他者をいろんな面で利用する人間、というのは世間に溢れています。そして、大概そのような他者を利用して利益を得ようとする人達は、最初はとても笑顔で近付いてくるのです。

そして、自分の良いように利用し、用無しになったら、ぽい。

自分にはもう関係がないと離れていきます。

そういう人間を判定する基準。見分け方というのは、急激に距離を縮めてこようとする人の特徴は、自分を魅力的に見せようとする人間です。

話題になったり聞かれもしないのに、自分から経歴を話したり、成績や偏差値、希望大学を口にしたり、自慢したりする人間は、その経歴が仮に本物であったとしても、実力がない人間です。

何故なら、本当に実力がある人間は、そんなことを言う必要がありません。実力がないからこそ、もしくは自信がないからこそ、唯一自慢できるものをかき集め、良く見せようとする。

そうしなければ、自分の許には人が集まってこないと思っているからです。そこには、相手のことを思いやる気持ちは全くありません。あるのは、自分が褒められたい。良い待遇をされたい。羨ましいと思われたいという、己の利、のみです。

【仁の心とは】

仁とは、思いやりの心。

仁が少ない、という事は、人を思いやる気持ちが少ない。ならば、そういう人間に多いのはどういう気持ちなのか。

逆です。他者ではなく、自分に対する利のみ。

そういう人間ほど、他者に必要以上に笑顔で、巧みに距離を詰めていく、とても好印象な人間になる、というのです。

他人に対する共感能力が全くないといわれているサイコパスも、初対面は非常に魅力的に見えると言います。

なので、初対面の時に完璧すぎるほどに好印象を抱く人と言うのは、どこかしらに「んっ?」と思う、エラーが必ずある筈です。

そしたら、この言葉を思い浮かべてみてください。

巧言令色すくなし仁。

好印象過ぎる人には、要注意。人間、欠点が一つくらいあった方が、人間味があるという事です。完璧な存在などいない。だからこそ、完璧に思える人がいたのなら。そして、とても笑顔で印象良くあなたに近付いてきている人がいるのならば、その本心がどこにあるのかを、少しだけ考えてみてください。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

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