2017年度(平成29年度)センター本試験問題解説 評論 その5


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こんにちは、文LABOの松村瞳です。

昨日に引き続き、センター問題の選択肢の吟味を行っていきます。昨日は丁寧に解説しましたが、次も同じです。

【昨日のおさらい】

選択肢を見る前に、ある程度答えを記述のように考える。書ける余裕があったり、国語の記述が二次試験にある文系は、ある程度書いてみる。もしくは、ポイントをまとめてみる。

この作業が、肝になります。

国語はただでさえ時間がない教科です。それを早く解けるならまだしも、時間がかかる方法ってどうなの? と思うかもしれませんが、逆に言うのならば理解できていないから時間がかかるのです。

解ってしまえば、違う選択肢は読んだ瞬間に外せます。何せ、違う部分があったら、その選択肢を外していけばいいわけですから、やればやるほどこの吟味は時間が短縮されていきます。

後は、センターの評論で問われる基礎的な知識を、貯めていくだけです。これも、理解をしなければそもそも頭の中に入っていきません。

まず、他者の意見を良く理解し、それを自分で誰かに説明できるようになって始めて、その知識は頭の中に定着します。だからこそ、目に見える形で書いておく、というのはとっても大事。

逆に間違えた時も、どこが間違えたのかがはっきりと分かります。自分の思考の道順を、後からなぞれるようにしましょう。そうしなければ、どれだけ演習をやっても無意味です。

何度も言います。解らない状態で問題だけやっても、まったく無意味です。せっかく時間をかけるのならば、この時期は確実に積み上がるものをやりましょう。

【問3の問題】

傍線部B「こうして『もっと科学を』というスローガンの説得力は低下し始め、『科学が問題ではないか』という新たな意識が社会に生まれ始めているのである。」とあるが、それはどういうことか。

はい。言い変えの問題です。

『もっと科学を』のスローガンは19世紀から20世紀前半の思想です。科学が技術と結びつき、社会の諸問題を解決できる能力を持っていた時代のこと。病や災害もある程度制御できる時代です。

これが低下し始めた原因は、科学- 技術(科学と結びついた技術の意)が生み出した人工物が、人間に災いをもたらし始めたから。(例:原子力や遺伝子操作・地球温暖化・公害など)

害が発生し始めると、科学に問題があるのでしないかという疑問に意識が向くのは、当然のこと。原因をどうしても知りたくなりますからね。

なので、

・19世紀から20世紀前半は技術と結びついた科学には、社会の諸問題を解決する能力があったが、この過程の中で生み出された様々な人工物が人間に災いをもたらし始めるようになり、科学への意識が変わっていったこと。

な、解答を作っておきます。

【問3の選択肢吟味】

① 20世紀前半までの科学は、自然の仕組みを知的に解明するとともに自然の脅威と向き合う手段を提供(△)したが、現代における技術と結びついた科学は(×)自然に介入しそれを操作する能力の開発があまりにも急激で予測不可能となり(×)、その前途に対する明白な警戒感が生じつつある(○)ということ。

はい、先ず冒頭は自然の脅威と向き合う手段、と在りますが、本文で言及されては居ませんが、自然の仕組みを解明、自然の脅威を制御、と書いてあるので、向き合う、という表現が少しいただけませんが、明確な間違いとは言えません。

次がダウトです。技術と結びついたのは、19世紀から20世紀前半の近代です。現代ではない。地味に、この近代と現代の時代わけが出来ているかどうかを入れ込んでくる問題は多いです。要注意。

自然を操作する能力の開発……そんなのあったら良いですね。(地震とか津波とかね……)恐らく、遺伝子操作の例示をそう言い変えているのだと思いますが、技術開発の急激さは全く書いてありません。人間に害を及ぼすから、科学に対する万能感が下がったのです。

科学の前途に警戒感が生じているのは、正解。けれど、その他が間違いありすぎて、これは間違いです。

 

②20世紀前半までの科学は、自然哲学的な営みから発展して社会の諸問題を解決する能力を獲得したが(○)、現代における技術と結びついた科学は、研究成果を新商品や新製品として社会へ一方的に放出する営利的な傾向が強まり(×)その傾向に対する顕著な失望感が示されつつ(×)あるということ。

冒頭は大丈夫。けれど、次が、営利的、つまり儲けたいと思う、商業的な傾向性が失望感につながった、わけではないですよね。人間に害を及ぼすからです。間違い。

③20世紀前半までの科学は、日常の延長線上で自然の仕組みを解明することによって社会における必要性を高めた(×)が、現代における技術と結びついた科学は、実験室の中で天然では生じない条件の下に人工物を作り出すようになり(○)、その方法に対する端的な違和感が高まりつつある(×)ということ。

社会の仕組みを解明することによって、必要性が高まったわけではなく、問題を解決してくれる能力があったから、必要性が生じたから、×。人工物を作り出した表記は○ですが、肝心の人間に対する害を為している部分が書いてないので、間違い。

④20世紀前半までの科学は、その理論を応用する技術と強く結びついて日常生活に役立つものを数多く作りだした(○)が、現代における技術と結びついた科学は、その作り出した人工物が各種の予想外の災いをもたらすこともあり(○)その成長に対する全的な信頼が揺らぎつつある(○)ということ。




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過不足ありません。正解。

⑤20世紀前半までの科学は、一般市民へ多くの実際的な成果を示すことによって次の段階へと貪欲に進展した(△)が、現代における技術と結びついた科学は、その新知識が市民の日常的な生活感覚から次第に乖離するようになり(×)、その現状に対する漠然とした不安感が広がりつつある(×)ということ。

前半の表記は、次の段階というのが表記されていませんが、もっと便利に、もっと発展をという意識は有ったでしょうから、△。けれど、次の日常的な感覚と乖離したとは、書いてありません。害を及ぼすようになったことが、原因です。そして、漠然とした不安ではなく、科学に対する不信感や反発です。間違い。

【問4の問題】

傍線部C「ゴレムのイメージに取りかえることを主張したのである」とあるが、それはどういうことか。

はい、またしても問題は、「どういうことか」

言い変え、書き換えの問題です。こればっか(笑)

主張したのは、コリンズとピンチですよね。

ゴレムのイメージに置き換えようとしたのは、科学のイメージ。じゃあ、その前の、どんなイメージから取りかえようとしたのか。それは、万能の神のイメージです。

それをゴレム。

日々成長し、命令を聞き、人間にとって有益だが、制御できずに人間に牙をむくこともある、不完全な存在であるというイメージに置き換えようとしたのです。

それが書いてある選択肢を選べば大丈夫。

 

 

【問4の選択肢吟味】

全面的に善なる存在という科学に対する認識を(○)、個人的な力を増加させつつ成長するがやがて人間に従属させることが困難になる怪物ゴレム(△)のイメージで捉えなおすことで、現実の科学は人間の能力の限界を超えて発展し続け将来は人類を窮地に陥れる脅威となり得る存在である(○)と主張したこと。

はい、ちょっと難しい選択肢です。

明確な×がない。微妙なのは、従属させるのが困難になるゴレム、という表現は、合致していますが、人間に牙をむく、という意味合いが書かれていません。

けれど、このような選択肢の場合は、最後まで残します。

より、正解に近いものを選ばなければならないので、選択肢の一つとして、残しておきます。これよりも、より正解に相応しい(○が多い選択肢があれば、そちらが正解です。)

 

全面的に善なる存在という科学に対する認識(○)を、水と土から産み出された有益な人造物であるが、不器用な面を持ち合わせている怪物ゴレムのイメージで捉えなおすことで(△)現実の科学は自然に介入し操作できる能力を獲得しながらもその成果を応用することが容易でない存在である(×)と主張したということ。

はい、明確な×が出ました。

自然に介入し操作できる能力、とまでは書いてないし、その成果を応用する、はゴレムとは全く関係がありません。

人間に牙をむく、危害を与える存在、という言葉がないので、間違い。

全面的な善なる存在という科学に対する認識を(○)魔術的力とともに日々成長して人間の役に立つが欠陥が多く危険な面も備える怪物ゴレムのイメージ(○)で捉えなおすことで、現実の科学は新知識の探求を通じて人類に寄与する一方で制御困難な問題も引き起こす存在(○)であると主張したということ。

はい、綺麗に○が揃いました。

ゴレムが役立つけど、人間に牙をむくかもしれない可能性も書いてあるし、制御困難な存在になるかもしれない事も、きちんと書いてあります。過不足ありません。正解。

結果的に①は間違い。ゴレムに牙をむく、人間に危険な存在になる、という記述がないのが、決定打です。

全面的な善なる存在という科学に対する認識(○)を、人間の手で創り出されて万能であるが時に人間に危害を加えて失望させる面を持つ怪物ゴレムのイメージ(○)で捉えなおすことで、現実の科学は神聖なものとして美化されるだけでなく時には幻滅の対象にもなり得る存在であると主張した(×)ということ。

前半は良かったのですが、後半の科学を神聖なものとして美化するという内容は書かれていません。

間違い。

全面的に善なる存在という科学に対する認識(○)を、主人である人間を守りもするがその人間を破壊する威力も持つ怪物ゴレムのイメージ(○)で捉えなおすことで、現実の科学は適切な制御なしにはチェルノブイリ事故や狂牛病に象徴される事件を招き人類に災いをもたらす存在である(×)と主張したということ。

適切な制御なしには人類に災いをもたらす、という表現は、逆に言うのならば、適切な対応さえ間違えなければ、、人類に災いをもたらさない、ということなので、間違い。そんなことは、書かれていません。

 

 

はい、今日はここまで。明日も続きます。

ここまで読んで頂いて、ありがとうございました。

 


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