2018年度(平成30年度)センター本試験 国語 古文解説

テスト対策

【問4】

傍線部B「情と欲とのわきまへ」と恋との関係について、本文ではどう述べているか。

本文から拾えるのは、

情は人が感じる全ての感情。身にしみるような深い感情のこと。
欲は財を願う心。
恋はこの二つに関わっているけれども、どちらが重要かと言えば、情である。

これが過不足なく入っているのは、選択肢③

①は「情」と「欲」は人に深い感慨を生じさせる、が間違い。欲は深くないと言いきっている。
②は、受動能動の感情という区分が間違い。こんなことは書いてない。
④は、「欲」が何かを願い求める、という部分が間違い。何か、ではなく、財や宝、としっかり書いてあります。
⑤は、「情」は自然を賛美、恋は花や鳥を愛するような心から生まれる、が間違い。そんなことは、本文に書いてない。

【問5】

「情」と「欲」の時代による違いと歌との関係について、本文ではどのように述べているか。

総括問題です。

古文の訳が正確に出来ていれば、現代文の選択肢よりぐっと楽なのが古文の良いところ。英語とも似てますね。微妙な選択肢が無い(笑)

ポイントは、

「情」が弱いものとして、「欲」よりも下に見られ、恥ずかしいものとされ、表に出さなくなったこと。けれど、歌の世界では昔から「情」を恥とは思わず、歌い続けてきたこと。

これが書いてあるのは、選択肢④

①は、「欲」の有り方が変わった、上代と後世の恋の歌が性質を異にしている、が間違い。
②は、「情」が時代が経つにつれて人々の心から消えていった、が間違い。感情がなくなったら、怖いです(笑)
③は、後世、恋の歌が衰退してくると、人々の「情」は後退し、「歌」が肥大してしまった、が間違い。
⑤は、歌はもともと「欲」にもとづいて詠まれていた、が間違い。

【問6】

歌や詩は「物のあはれ」とどのように関わっているのか。

全体の総括です。

これはひとつひとつ丁寧に選択肢を読む必要があります。

歌は「もののあはれ」から生まれるもの。
「欲」を読んでいる漢詩とは、異なるものだときっぱりと言い切っています。その違いをきちんと明確にしてある選択肢を選べばいいだけです。

それがきちんとわけて書いてあるのは、選択肢④。

①は、何を「あはれ」の対象とし~からが間違い。国ごとの情と欲の違いまでは、言及していない。
②は、後半の「欲」を断ち切れずに~が間違い。珍しいことだが、という前起きで書かれている部分だけれども、「欲」を絶ち切れていない、とは書いていない。
③は、全体的に×。こんなことは本文に書いてないし、沿ってもいない。
⑤は、ラストの簡単には「物のあはれ」を感受できない、の部分が間違い。漢詩は「欲」を重視していることが書かれていない。

 

【まとめ】

評論、小説と違って、今回の古文は古文に弱い子でも簡単に読めたのではないかと思います。

「情」と「欲」の違いや、本居宣長が「物のあはれ」を重視していた事は、古文でも日本史でも文学史でも習っている内容なので、知っている人も多かったと思いますし、欲を重視する事はないなということさえ取れていれば、選択肢の訳文を頼りに解答にたどり着けた人も多かったのではとおもいます。

けれど、何より思うのは、基礎が大事、ということですね。日々読む授業の古文で、ちきんと文法解釈をし、解らない部分を教科書や参考書を読んでいい加減に勘で解くのではなく、しっかりと分析出来るようになっておくことが、何よりも大事です。

是非、参考にしてください。

重視しなければならないのは、古文は基礎です。それ以外、何物でも有りません。

ここまで読んで頂いてありがとうございました。

明日は漢文です。

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