100パーセントは正しくない科学 論理国語 テスト問題 記述編

100パーセントは正しくない科学

筑摩書房の論理国語から「100パーセントは正しくない科学」のテスト対策問題の記述編です。

評論問題の基礎になりますが、

些細な言葉の違いをきちんと自分で説明できるようになること。
言葉の関係性を、図で描くことができること。

この2つがとても重要な力になります。

論理国語の語句の知識は、漢字と意味を解っているかどうかがワークなどで問われることが多いのですが、受験の時に特に必要となるのがこの、「些細な違い」「ニュアンスの違い」をきちんと自分で説明できること、になります。

生徒2
生徒2

「現代文の勉強の仕方が分からない!!」

という人は、まずここから始めてみてください。

本文で出てくる言葉を、ちゃんと自分は説明できるのか。これ、本当にやってみるとほとんどの人ができません。難しい言葉ではなく、より日常的な言葉の方がこの違いを説明するのが難しいです。例えば、「隣」と「横」の違い。明確に違いを説明できますか? 図で描くことができますか?

それを考えて、書いて、人に伝えるのが現代文の勉強です。

 

では、問題です。

 

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問題

問1 

次のひらがなを漢字にしなさい。(本文中の漢字を使う事)

(1)すいろん (2)えんえき (3)すいそく (4)逆と裏とたいぐう (5)くりかえす 

(6)こんきょ (7)ぬれる (8)かせつ (9)けんしょう (10)論文がしじされる  

(11)りろん (12)ほうそく (13)段階をふむ (14)卵のから (15)せきついどうぶつ 

(16)あんもく (17)ぜんてい (18)かんさつ (19)しょうこ (20)ことがら 

(21)てんけいてき (22)とうたつ (23)あきらめる (24)不変のしんり (25)答えにせまる

解説

大抵の人が漢字は一度書いてみて、答え合わせをすると2回目は7割から8割は正解します。

けれども、一度もやらないとほぼ書けないのです。

この「1回やってみる!」というのか、テスト前には大事です。ポイントは、その時に全部書けなかったとしても、自分を責めない事。

勉強するときの鉄則です。むしろ、テスト前に小テストを自分でしたことを、めちゃくちゃ褒めるのが大事!! このページにたどり着いて、テスト前にどうにかしようとしているあなたは偉いっ!!

 

(1)推論 (2)演繹 (3)推測 (4)逆と裏と対偶 (5)繰り返す (6)根拠 (7)濡れる (8)仮説 (9)検証 (10)論文が支持される  (11)理論 (12)法則 (13)段階を踏む (14)卵の殻 (15)脊椎動物 (16)暗黙 (17)前提 (18)観察 (19)証拠 (20)事柄 (21)典型的 (22)到達 (23)諦める (24)不変の真理(25)答えに迫る

 

 

問2 

第3段落「でも、残念ながら、そうはいかない。」とあるが、どうしてそう言い切れるのか。説明せよ。

解説

問題に、「そうはいかない」とあるので、この「そう=指示語」の内容をまず指示されている内容に置き換えます。

指示語は、大抵その文章の3行前付近当たりまでの中にある可能性が高いです。(絶対ではありません。あくまで可能性が高いだけ)そこに無かったら、その段落全体に検索範囲を広げます。

この場合、「そう」の内容は、前文の内容です。

「演繹を行っていれば、科学でも100パーセント正しい結果が得られそう」という内容です。

となると、指示語を問題文の中に入れ込んで書き換えると、

「演繹を行っていれば、科学でも100パーセント正しい結果が得られるとは、いかない」

となります。それがこんなにまでもきっぱり言い切れるのはどうしてなのか。その理由を探すのが問題です。

理由は次の段落の冒頭に書いてあります。
科学は新しい情報を手に入れようとする行為です。そして、演繹では新しい情報を手にいれる思考方法ではありません。なぜなら、演繹は根拠の中に結論が含まれているので、もうすでに知っている知識を行ったり来たりしているだけだから、新しい情報を手に入れることはできません。新しい情報はまだ知らない知識の中にあるのです。
理由をまとめ、「科学は~~~~をする行為だが、演繹では……………なので、~~~~は手に入らないから」の穴埋めをしてみてください。

分かる人はヒントを見ずに記述問題を書いてみてください。

科学は新しい情報を手に入れようとする行為だが、根拠の中に結論が内在している演繹ではいくら繰り返していても、新しい情報は手に入らないから。

 

問3 

本文を踏まえて、「演繹」と「推測」の違いを説明しなさい。

解説

この手の問題は、対義語のように説明の形をとるととても書きやすいです。

「Aは…………です。一方、Bは~~~~です。」

というテンプレートを使います。

このとき、「……」と「~~」に入れる内容は、順番を必ず同じようにすること。対比を意識すると解答が作りやすくなります。

「演繹」……根拠の中に結論が含まれている、100パーセント正しい、新しい情報は得られない。
「推測」……根拠の中に結論が含まれていない、100パーセント正しくはない、新しい情報が得られる。
この定義を順番を守って解答のテンプレートに配置すると、解答文が作れます。 

 

 

ヒントを参考にして、読むだけでなくきちんと一度手で書いてください。

「演繹」は根拠の中に結論が含まれているものなので100パーセント正しいが、新しい情報は得られない行為だ。一方「推測」は根拠の中に結論が含まれておらず、100パーセントの正しさは保証されないが、新しい情報が得られる行為である。

 

 

問4 

第19段落「証拠をうまく説明できるように仮説を立てた。」とあるが、どのようにすれば「うまく説明」できるのか。説明しなさい。

解説

これは、本文に描かれている図の矢印を重視します。

証拠➡(仮説形成)➡仮説

という矢印の向きを仮説形成とするのならば、

証拠⇚(              )⇚仮説

のように、矢印を逆向きにするのが「説明」=(演繹)です。

第20段落に書かれている説明するとはどういう事だろうか」の部分を参考に解答を作る。
「説明する」とは「演繹する」ということなので、「演繹」を考えた問3を参考にする。
根拠の中に結論が含まれているのが「演繹」なので、(仮説=根拠)、(証拠=結論)と置き換えて考える。
仮説を根拠として、証拠が導き出されれば、説明できるわけである。

ヒントを参考に、「~~~~すれば、うまく説明が出来る」と解答をまとめること。

 

立てた仮説を根拠にし、演繹によって証拠が導き出せるようにすれば、うまく説明ができる。

 

問5 

第29段落「仮説に対して100パーセントの正しさを保証できない」のはなぜか。本文全体を踏まえて、説明しなさい。

解説

この問題は、図で説明すれば簡単なことを「文章で」説明できるか、という内容の問題です。

なので、本文から抜き出してまとめる、という考えはきっぱり捨ててください。そんな楽な問題ではありません。

まず、解答の主語と述語をどう配置するかを考えます。

仮説に対して100パーセントの正しさを保証できないのは、仮説形成や検証が演繹の逆になってしまうからです。

数学論理の「命題と証明」で学んだように、ある定理の逆は「必ずしも正しいとは限らない」となります。定理が正しくても、逆は正しいとは限りません。

この部分をきちんと解答の中に入れて、全体的な要旨も含めて説明をします。

まず、仮説をなぜ立てるのか、ということを説明します。
科学は新しい情報を手に入れるために、仮説を作ります。仮説の形成をした後、仮説が正しいかどうかを更に「新しい事柄」を導き出して「検証」を行います。
けれど、この(仮説形成と検証)が(仮説の説明と予測)と、どうしても逆になってしまうので、100パーセントの正しさを保証できなくなるのです。
本文についている図の関係性を、言葉で順序立てて説明し、文末を「逆になるから」になるように、文章を配置します。
この時、(証拠・仮説・新しい事柄)と(仮説形成、検証)と(説明、予測)の関係性を一度、自分で図にしてみてください。そうしてから解答を書いてみるとすっきりと書けますし、図で書けなければ文章も書けるようにはなりません。

文章を図化する。図を文章で説明する。
この二つは、共通テストでも読解の時に重要になる要素なので、しっかりと身につけてください。

 

科学は仮説の形成と検証を行うことで新しい情報を得ることが出来るが、仮説を形成するための証拠や検証を行うための新しい事柄は、仮説による説明や予測を演繹にしなければならないので、仮説の正しさを保証する仮説形成や検証が演繹の逆になってしまう。ある理論の逆は必ずしも正しいとは限らないので、演繹が100パーセント正しいとすると、その逆は100パーセント正しいとは限らなくなってしまうから。

 

問題は此処までです。

論理的な文章や科学者が書く文章は、共通テストでも良く出題されるものです。

文章を図化して、構造的に意味・内容をとらえる練習は、演習をしなければなかなか身につかないので、ぜひ意識して演習を繰り返してみてください。

ちょうど夏休みに渡されるテキストなどの現代文で、図化してみるとよい練習になりますし、図で理解すると要旨要約もすんなり出来るようになってくると思います。

ぜひトライしてみてください。

テスト勉強、応援しております。

 

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

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