筑摩書房の論理国語から、「貧困は自己責任なのか」のテスト対策問題です。
定期テスト対策、または記述の受験対策などに役立ててください。
基本、国語の問題は
- 語彙力(漢字・文法・教養も含む)
- 抽象化と具体化の問題
- 因果関係の問題
の3つで構成されています。この3つが解る人は先に進んでください。分からない、すぐにはイメージ出来ない(特に抽象化⇄具体化)、なんだそれ? と思う方は、まずこちらをどうぞ。
さらに、国語の勉強の仕方が解らない人は、こちらの記事をどうぞ。
では、「貧困は自己責任なのか」の定期テスト対策問題です。
本文理解の解説はこちら
内容が良く解らない人は、こちらを読んでから問題を解いてみてください。
問題
問1
次のひらがなを漢字で書きなさい。(送り仮名あり 本文内の漢字で)
⑴しょとく ⑵せんざい ⑶ゆいいつ ⑷すいじゅん ⑸がいねん ⑹じんぞう
⑺とうせき ⑻へんかん ⑼こうりょ ⑽いぜんとして ⑾おちいる ⑿ほうと
⒀たいのう ⒁こんきゅう ⒂ためいけ ⒃しょうげき ⒄とうめん ⒅しょりょく
⒆リストラにあう ⒇ことかく (21)きゅうぼうど (22)はいじょ
解説
漢字は受験には必須であり、語彙力は英語で言えば単語力です。
誰もが出来るものですが、誰もがやりたがらない分野でもあります。だからこそ、やった人間は必ず点数が上がります。
ポイントは、数をこなすこと。
一度テストをしてみて、再度繰り返すこと。
暗記はとても単純です。数をこなし、手を動かせば必ず入ります。
1日1回。3日も連続で続ければ必ず頭に入るので、テスト一週間前から準備をしておきましょう。
(7)透析 (8)変換 (9)考慮 (10)依然として (11)陥る (12)方途
(13)滞納 (14)困窮 (15)溜池 (16)衝撃 (17)当面 (18)諸力
(19)リストラに遭う (20)事欠く (21)窮乏度 (22)排除
問2
第2段落「基本的な潜在能力」とは何か。説明せよ。
解説
基本的な言いかえの問題です。
問題が、「何か」と聞かれているので、文末は、「~~~ということ」のように、「こと」や「名詞」で終わる形であればOK。
そして言いかえは「違う言葉で同じ内容を表現すること」になります。
ということは、「基本的な」が何を示しているのか。「潜在能力」が何を示しているのか、を具体的に考えます。本文、第2~3段落に書かれていることを参考にしてまとめるとgood!
・「基本的な」=「基礎的・根幹的なもの」=「生活を根幹的に支えるもの」と段階的に考えていけば、十分な食物、栄養、衣料や住居。衣食住が満たされている状況であることを指し示していることが解ればOK
・「潜在能力」=「目に見えない秘めたる能力・可能性」=「(本文から)自由」を選択できればOK。自由は形もなく、目にも見えないので、潜在的な能力、の言いかえとしては共通項がある。そこから、「個人的・社会的自由」を見つける。
部分的に言いかえられたら、文章として解答をまとめてみます。必ず書き上げてから、解答を見てください。
問3
センの「潜在能力」と筆者の「溜め」ということばはどのような共通性を持っているか、説明せよ。
解説
AとBの共通項を説明せよ。
この形式の問題は、Aの内容を説明し、その後Bの内容を説明。
AとBに共通するもの(概念)をみつけ、それを書く。という、3段階の解答内容である必要があります。この場合、共通項だけ書くのはなしです。なぜなら、AとB。この場合は、「潜在能力」と「溜め」がどのようなものか提示していないのに、共通項だけ正解しているのは、理解が出来ている証拠としては根拠が薄いからです。
なので、面倒でも一つ一つを説明して、解答に至りましょう。大丈夫。慣れてしまえばむしろ簡単な問題です。
・「溜め」=書かなければならない項目は2つ。衝撃吸収材(クッション)としての役割+エネルギーの源泉の2つを必ず入れること。防御でもあるし、やる気の基にもなる抽象的な概念。
・共通項=両者とも、「金銭」のみに限定されていないこと。更に、選択の自由が確保されていること。これらがあれば、貧困に陥ることはない。
問4
第14段落「溜めを失う過程は、さまざまな可能性から排除され、選択肢を失っていく過程でもある」とは、どのようなことか。説明しなさい。
解説
これも言いかえの問題です。それぞれを違う言葉で説明出来ればOK。
出題文を部分的に区切り、それを違う言葉に置き換えていきます。一気に全体を言いかえようとするのではなく、1つでも違う言葉で言いかえることができれば、部分点を稼ぐことができます。
大きいことを狙うのではなく、小さなことをこつこつ積み上げましょう。土台がしっかりした勉強は、ちょっとやそっとでは崩れることがありません。
具体化の内容は、
「溜め」「失う過程」「さまざまな可能性」「選択肢を失っていく」ことがそれぞれ何を指し示しているのかを、違う言葉で説明します。
・「失う過程」=失う過程を、段階的に説明する。雇用を失う・無職になる➡衣食住に困る➡生活が困窮する➡最後の砦である自信や自尊心を失う を、順を追って書く。
・「さまざまな可能性」=排除される、の逆を考えるとさまざまな可能性を予想できる。つまり、溜めを失う過程のどこかで、助けがはいることが貧困に陥らない可能性がある、ということ。なので、その助けが入らない、ということは、「家族の助けがなく」「公的扶助も得られず」「貯蓄も底をつき」「助けてくれる人が1人も居なくなる」状態が、貧困から這い上がる可能性を排除された状態のこと。
・「選択肢を失う」=貧困から這い上がれない=現状の生活を維持するだけで精一杯=生活の維持以外の行動をする余裕が全くない状態のこと。
問5
貧困の自己責任論と筆者の主張が「相容れない」のはなぜか。
解説
これも出題の形は問4と前半は同じです。
出題文の単語を違う言葉で説明するところまでは同じです。
「自己責任論」とは、どういうものなのかをまず、説明。
「筆者の主張」とは、どういうものなのかを説明。
その後、この2つの意見が相容れない(=お互いに許容し合うことができない)原因を考えます。
なので、この問題は、抽象➡具体化の問題を経て、因果関係でまとめる出題になります。
なぜ、この2つは相容れないのか。
それは、ある条件が違うからです。前提が違ったら、貧困の原因として比べることはできませんよね。その異なった前提条件を提示し、解答をまとめます。
・「筆者の主張」=選択肢が極端に狭まり、選択する自由が奪われている状態が貧困。
・両者の相容れない理由=選択肢がある状態で、さらに選べる自由があることと、選択肢が数少なく、選択する自由がないことは、前提の状態、条件が違いすぎるので、同レベルで比較することは出来ない。
ぜひ、定期テストで役立ててください。
そして、「貧困」問題はどうすれば解決に向かうのか。それを個人的な意見でも良いので、それぞれが考えてみてください。自分と縁遠いものと捉えるのではなく、社会の誰もがいつ陥ってもおかしくない状態であると仮定して考えると、セーフティネットの重要性や福祉の意味が見えてきます。
社会保障はもともと国家に備わった機能ではありません。先人たちが必要だと、作り上げてきたものです。けれども、時代と共に必要なものは変わっていきます。先人の知恵に甘えるだけでなく、今の私たちに必要な形にカスタマイズしていく必要があります。
だからこそ、現状を知り、考える必要があります。
ぜひ、教科書から一歩進んで「考えて」ください。それが大学受験の小論文やあなたの未来。もしかしたら、誰かの未来に繋がっていくかもしれません。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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